【本部町長選】現職平良氏「町民生活第一主義」 16年ぶり町長選
- 2022/9/6
- 政治
任期満了に伴い9月11日に投開票される沖縄県本部町長選挙は、2006年以来、実に16年ぶりの選挙戦となる。6日に告示され、届け出順に新人で町議の真部卓也氏(41)=自民推薦=と、現職で2期目を目指す平良武康氏(72)が出馬した。本部町は人口約1万3000人ながら、県内屈指の観光スポットである沖縄美ら海水族館を筆頭に、備瀬のフクギ並木や、水納島、瀬底島など、特にコロナ前は多くの客足を集めてきた。HUB沖縄では両候補の政策を紹介する。
本記事では現職の平良氏の政策を紹介する。「町民生活第一主義」をキーワードに“町民党”を掲げる平良氏は6日に行われた出発式で「私はどの政党の支持も公認も推薦も受けておりません」と話し、自民党推薦の真部氏を念頭に置きながら「国会議員が本部町の政治を決めるんじゃないですよ」と訴えかけた。
また、県職員37年、副町長7年、町長4年の経験を強みに「どの町にも先駆けて、子ども子育て基金を作って、一括交付金を活用して学校給食の無償化にもこぎつけました」と実績をアピールする。
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「町内丸ごとテーマパーク」で多産業に波及
平良氏が掲げる目玉政策の中でも、特に前面に打ち出しているのが「町内丸ごとテーマパーク構想」だ。「本部町=観光地」という振興の在り方から「本部町=テーマパーク」を目指し、自然や食、伝統を生かしながら宿泊・体験・散策を町全体で包括的に楽しめるものへとシフトしていく。
カツオをはじめとした海産物の名産地として知られる本部町で、その日水揚げされた海の幸が味わえる「おさかなセンター」を新設することに加え、本部港のクルーズ船ターミナル内に、町内事業者が運営する店舗や特産品販売店などを設置し、町の生産物をアピールしながら漁業、飲食業、観光業の活性化につなげる。また、今後の需要が見込まれる国際クルーズ船の受け入れに向けて、税関や免疫体制の整備を推進する。
沖縄本島では2番目に標高が高く、桜まつりも行われる八重岳では、アクティビティ施設を整備して“森の観光”も促進していく考えだ。また、貴重な動植物の保護・観察・学習の場としての環境整備を進めていく。さらに、現在試験運用中の町内周遊バスを継続することも、同構想に盛り込んでいる。現在沖縄県が進める「国立自然史博物館」の誘致にも積極的だ。
子ども関係政策を継続・強化
上記のような経済振興の他にも、平良氏は「子ども・子育て支援」「安心して暮らせる福祉社会」「道路や建物の整備」「IT事業の活性化」の計5つを重点政策としている。
現職としての1期4年の実績として特に強調しているのが、「子ども・子育て支援」だ。ふるさと納税を財源にして、幼稚園から中学校までの給食費を今年度から無償化した。その他、子ども医療費を0歳から15歳まで無料にしている。子ども・子育てゆいまーる基金条例を制定し、一般会計予算を積み立てて、紙おむつや粉ミルク支給や妊産婦のタクシー代助成、中学の制服購入費補助などに充てている。今回の政策でもこのような支援の拡充・強化を謳っている。
福祉社会の推進については、出発式で「高齢化が進む中で、買い物支援のために町中をくまなく車が回っております」と話すように、移動販売車「ロケットーフ2号」が地域を巡回しながら、高齢者の安否にも目を配るなどの取り組みを継続させる。
また、自身が県職員時代に農林水産分野を専門にしてきた強みから、特産品の新開発やブランド化にも力を入れる。町のシークワーサーやアセロラ、もずくなどを用いた企業との商品開発を通した町のPRも継続していく構えだ。
名護東道路の延伸も推進
本部町は半島に位置するため、交通の便が決して良くはないという課題もある。重点政策に挙げる「道路や建物の整備」に関連して、沖縄自動車道の許田ICとほぼ接続する形で昨年に開通した名護東道路(名護市許田~名護市伊差川)の本部町方面までの延伸を推進することも約束している。内閣府の北部振興事業で実施が予定されている町道満奈本線や町道上本部学園線の整備を実現させることで、定住促進につなげる考えだ。
平良武康(たいら・たけやす)
1950年2月15日生まれ。本部町謝花出身。北部農林高校、名城大卒。1973年に県庁に入庁し、北部農業改良普及センターや県立農業大学校校長などを歴任。2011年に本部町副町長に就任し、2018年から町長を務める。