持続可能な農業生産基盤を コロナ、ウクライナ情勢受け農業団体が要請

 

 新型コロナウイルスの感染拡大やウクライナ情勢の影響を受けている農業生産の現場の厳しい状況を踏まえ、沖縄県農業協同組合中央会(JA沖縄中央会、大城勉代表理事会長)など農業に関連する県内5団体が6月14日、沖縄県の照屋義実副知事に持続可能な農業生産基盤の確立に関する要請を行った。
 大城会長は生産資材や飼料などの高価格化、離島県である沖縄の輸送コストの大きさなどについて言及し「地域経済・社会を支える農業をはじめとする第一次産業のため、経営安定と生産基盤確立を実現するために支援してほしい」と訴えた。

経営安定、事業見直し、理解醸成求める

 要請項目は3つ。先ず1つ目は、生産資材価格の高騰に対する支援。長期化する飼料・肥料価格高騰で厳しい経営下にある中、今後さらに値上げが迫っている現状を踏まえ、飼料と肥料の価格上昇分に対する緊急支援措置を講じることを求めている。加えて、沖縄の地理的条件を踏まえて地域農業の実態に応じた経営支援策の実施も付言した。

 2つ目は、今年度から仕組みの改定が提案されている新たな「農林水産物流条件不利性解消事業」の内容見直しだ。今回の提案では「現状の農畜産物輸送実態が十分に考慮されておらず、これまで本県が築き上げてきた農畜産物の市場での評価や農業基盤の維持そのものにも懸念が生じている」として、事業の機能が十分発揮できるような予算措置を求めている。

 最後の項目は県民・消費者への理解醸成に向けた取り組み。あらゆる物資の価格引き上げによって農業生産コストが上昇する中で、販売価格への転嫁が実質困難である現状を指摘。「国民理解のもと、再生産可能な価格による農業経営の持続性の確保が必要」として、生産者の体質強化策への取り組みと、生産者の厳しい状況について県民・消費者への理解情勢を図ることも要望した。

厳しい農業生産の現場についてやりとりする大城会長(右)と照屋副知事

 照屋副知事は「議会も始まっており、それぞれの部局で議論しているところではあるが、長期に渡るということで今議会の提案だけで足りるとは思っていない」と前置きし、「県としては国の動向や生産者の意見も十分踏まえながら、全国の地域と連携した要請活動などを検討している」と応じた。
 また、「島嶼県である沖縄の農家の皆さんが安心してやっていけるように、しっかり理論武装して対策に取り組んでいきたいと思っている」とも述べた。

 今回の要請は沖縄県農業協同組合中央会、沖縄県農業協同組合、沖縄県花卉園芸農業協同組合、沖縄県酪農農業協同組合、沖縄県養鶏農業協同組合の連盟で行われた。


真栄城 潤一

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1985年生まれ、那覇市出身。
元新聞記者、その前はバンドマン(ドラマー)。映画、音楽、文学、それらをひっくるめたアート、さらにそれらをひっくるめた文化を敬い畏れ、そして愛す。あらゆる分野のクリエイティブな人たちの活動や言葉を発信し、つながりを生み、沖縄の未来に貢献したい、と目論む。

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