県内景気「厳しい状況」 日銀那覇支店5カ月連続で判断据え置き
- 2021/11/11
- 経済
日本銀行那覇支店(飯島浩太支店長)は10日、2021年11月の県内金融経済概況(主要指数は9月)を発表し、県内の経済活動は低い水準が続いているとして、「厳しい状況にある」との判断を5カ月連続で据え置いた。一方、項目別の公共投資については防衛関連や医療施設など公共事業の増加を受け、「底堅く推移している」から「緩やかに増加している」に上方修正した。
飯島支店長は、景気判断を据え置いた理由について「今回は、主に9月の係数で判断しているが、それを踏まえて考えると、経済活動の水準は低い状態が続いている」と説明した。
観光については、8月下旬に沖縄県内で新型コロナウイルスの新規感染者数がピークとなり、7、8月は上昇に転じていた主要ホテル客室稼働率が9月は22.1%に落ち込んだことなどから「厳しい状況にある」との判断を据え置いた。
項目別で唯一、上方修正した公共投資については、「公共保証請負額の前年比較は、振れ幅が大きい」としながらも、同請負額が1月以降3四半期連続で前年比プラスとなっていることから、上方修正したと説明した。
同支店は、県内景況の先行きについて従来の判断を維持する一方で、表現は「引き続き感染症の影響を受ける」から「感染症の影響が和らいでいけば、徐々に持ち直しに向かっていく」と変更した。
9月の県内主要ホテル客室稼働率は、前月比4.6ポイント低下の22.1%。内訳は、那覇市内ホテルが同2.7ポイント低下の18.9%、リゾートホテルは同5.6ポイント低下の24.0%となった。10月の主要ホテル客室稼働率は速報値で31.9%を見込み、上昇する見通しを示した。
飯島支店長は、県内経済について「足もとで対面サービス消費の下押し圧力が和らいできている」としながらも、コロナを経験した結果、慎重な消費行動が続けば思っていたほど伸びない可能性もあると分析した。
一方で、これまで旅行や外食を我慢していた人たちが動き出す可能性や、消費にまわす原資となる貯蓄がたまっている部分もあることを指摘し、「特にサービス消費の動向に注視する必要がある」と述べた。
(記事・写真・図 宮古毎日新聞)