JAおきなわとオリオンが協約 原料の供給・活用で緊密連携

 
協約に締結したJAおきなわの前田典男専務(左)とオリオンビールの石井芳典R&D部長=18日、那覇市壷川のJA会館

 JAおきなわとオリオンビール株式会社は18日、那覇市壷川のJA会館で「農畜産物優先利用等に関する包括提携協約」を締結した。JAおきなわが出荷する県産農畜産物をオリオンビールが優先利用することで、地産地消の推進と持続可能な農業の発展を目指す。また、規格外農産物のみならず、柑橘類の果皮や麦芽粕など通常は廃棄される部分の活用で、“もったいない”の解決にもつなげる。

背景の一つにオリオンのチューハイ参入

 これまでも両者は原料面での取引を行っていたが、2年前にオリオンビールがチューハイ市場に本格参入したことを機に県産農作物を使いたいという社内ニーズが増大し、緊密な協力体制の構築に至った。

 協定書では①県農畜産業の持続可能な発展②県産農畜産物の安定供給と有効活用③フードロス削減に向けた啓蒙活動④その他必要な活動-の4つを大きな項目として挙げている。

オリオンの拡散力で県産品の知名度向上も

 ブランド力や拡散力の高いオリオンビールの商品材料として県産農産物を利用することで、県外・海外へ向けた県産品の知名度向上なども図ることができる。

 両者の協約締結に関連して、26日には沖縄原産の柑橘類・カーブチーの果汁を使用し、香料、人工甘味料、人工着色料など全て無添加のチューハイ「natura WATTA かーぶちーサワー」を発売する。

「natura WATTA かーぶちーサワー」(オリオンビールプレスリリースより)

 これまでにも、規格外品で通常出荷が出来なかった豊見城市産のキーツマンゴーを使ってフードロス対策に寄与した「WATTA キーツマンゴー」貴重な県産グァバの原料供給をJAおきなわとの連携で実現して商品化した「WATTAトロピカルグァバ」など、チューハイラインナップを中心として12銘柄を開発してきた。

「農業者の所得増大目指す」

 協約に締結したJAおきなわの前田典男専務は「農畜産品の安定供給や規格外品などの有効活用を通して、農業者の所得増大、農業生産の拡大を図り、沖縄の第一次産業の持続的発展を図ってまいります。そのパートナーとしてオリオンビール様と提携できることに大変感謝しており、一層のシナジー(相乗)効果に期待しています」と述べた。

 オリオンビールの石井芳典R&D部長は、協約締結によって今後も十分な果汁を供給してもらえることに触れた上で「県外、海外へと製品を発信していくことが最も重要だと考えています」と述べた。さらに、シークヮーサーが沖縄だけではなく県外でも生産力が付いている現状を例に挙げ、オリオンビールが県産品で製品を作って販売することで、県産農作物などのブランド力の強化・維持につなげる姿勢を見せた。

ハーブや野菜の活用も想定

 また石井部長は、商品開発の原料として果汁だけでなく「ハーブや野菜の使用も積極的に考えていきたいです」とも述べた。また、在庫過多が問題となっている黒糖については「1年前から商品開発に取り組んでいます。来年再来年には商品化していきたいです」と展望を描いた。


長濱 良起

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フリーランス記者。
元琉球新報記者。教育行政、市町村行政、基地問題の現場などを取材する。
琉球大学マスコミ学コース卒業後、県内各企業のスポンサードで世界30カ国を約2年かけて巡る。
2018年、北京・中央民族大学に語学留学。
1986年、沖縄県浦添市出身。著書に「沖縄人世界一周!絆をつなぐ旅!」(編集工房東洋企画)

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