「厳しい状況」 日銀那覇 県内景気判断を据え置き

 
日銀那覇支店

 日本銀行那覇支店(飯島浩太支店長)は10日、9月の県内金融経済概況(主要指数は7月)を発表した。政府が発令する緊急事態宣言が9月末まで延長されたことなどの影響により、観光需要の落ち込みがみられるとして、足元の景気判断について「厳しい状況にある」との判断を据え置いた。

 ただ、同支店は県内景気全体と観光分野で「厳しい状況」との判断は維持する一方で、3カ月連続して盛り込まれていた「強い下押し圧力」との文言は削除した。主要ホテル客室稼働率は依然として低い水準であるものの、6月(16.1%)から7月(26.6%)、8月(速報値28.9%)と上昇していることなどが理由という。

 このほか、分野別では唯一、住宅投資について「弱めの動きとなっている」から「下げ止まりつつある」と上方修正した。飯島支店長は、金融機関のアパートローンに対する貸出姿勢が慎重になったり、ハウスメーカーなどが営業を自粛する動きがあったりしたが、徐々に一巡したと分析したほか、「7月の新設住宅着工戸数が前年比で0.6%プラスに転じた」ことなども指摘した。

 県内の個人消費については「厳しい状況が続いている」との判断を据え置いた。大型商業施設への土日の休業要請が解除されていた影響で、百貨店・スーパーの販売額(全店舗)が前年比2.0%増となったほか、コンビニの販売額も新規出店効果などで同0.7%の増加に転じた。

 雇用・所得情勢についても、「ひと頃に比べて悪化している」との判断を維持。7月の有効求人倍率が0.84倍と1倍を割り込む状況が続いているほか、完全失業率も4.50%と前月より0.82ポイント悪化している。

 県内景気の先行きについては、3月から継続する「引き続き感染症の影響を受けるとみられる」との判断を据え置いた。

 同支店は、県内で新型コロナの新規感染者数は減少傾向にあるものの、重症者数が引き続き高い数値にあること、緊急事態宣言が今月末まで延長されたことなどを踏まえ「感染症が及ぼす影響について、引き続き注視が必要」との認識を示した。

飯島新支店長「県経済の発展に貢献したい」

 同日は、8月4日に着任した飯島支店長の就任会見も行われた。就任のあいさつで、「県経済は新型コロナウイルス感染症の影響を極めて大きく受けている。感染症の影響への対応という重要な局面にあるが、それと同時に先を見据えた取り組みも大切だと考えている。県経済の発展に少しでも貢献したい」と意気込みを語った。

オンラインで会見する飯島浩太新支店長=10日、那覇市(写真提供・日銀那覇支店)

 沖縄の基幹産業である観光業のあり方については、「コロナを経験して多少人々の価値観が変化することもある。そういうものに対応して、どういう形で観光を提供していくのかという点が、今後のポストコロナを見据えた時に、重要な視点になるのではないか」との認識を示した。

 また、県経済の強みについては「豊富な観光資源と、東アジアの中心に位置する地理的な優位性が沖縄の強み。そういう部分を生かしながら県経済の発展につなげていきたい」と力を込めた。

(記事・写真・図 宮古毎日新聞)

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