海に浮かぶ小島だった「奥武山」湧き水とマジムン伝説が物語る歴史

 
今でもしっかりとガーナームイを睨みつけているシーサー

 真玉橋の近くには、再びマジムンが動き出さないよう今でもイリヌシーサーという古いシーサーが、ガーナームイを向いて眼を光らせている。

 また、ガーナー森は山の上まで登ることができる。頂上には御嶽が祀られているのだが、この“登山道”がクジラの背骨を登っていくような感覚なのだ。住宅地の中で異様な存在感を醸し出し続けるガーナームイは、かつてその周辺が海に浮かぶ島だったことを物語っている。

まるで巨大生物の背中を登っていくかのように感じる道

 一つ補足をすると、ガーナームイに生えている「ナハキハギ」という植物が、沖縄を生息の北限とする珍しい木であり、その貴重な生態系を保つためにもこの山を残しているという事情もあるようだ。

 ガーナームイからほど近い小禄高校のすぐ側には、青いクジラを模った公園があるが、実はあのクジラ、ガーナームイの別称「クジラ山」をモチーフにして作られた公園なのだ。悪さをするガーナムイという昔話もある一方で、昔から人々にとっていかに親しまれてきたかが分かるような気もする。

このクジラにはガーナームイとの関わりがあった

 機会があればぜひ、今回紹介した史跡を巡って戦後の奥武山付近の激変ぶりと、我々はこれまでにどれほどの海を埋め立ててきているのか、という現実も肌で感じてもらえればと思う。

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