海に浮かぶ小島だった「奥武山」湧き水とマジムン伝説が物語る歴史
- 2021/8/28
- 社会
近年の土地開発によって水脈に変化が生じ、水量はどんどんと減っているようだが、落平を守っていこうという動きもあり、横の大きな住宅公社の一角に人口ものではあるが湧き水を引っ張っている樋、井戸がある。あまり目立たず見落としがちだが、近くを訪れた際にはぜひ探してみてほしい。
マジムン小島「ガーナームイ」
奥武山が離れ島だったことを示す場所が、近くにもう一つある。
ゆいレール奥武山公園駅下の、コンビニや居酒屋が立ち並ぶ通りの裏側だ。そこには緑生い茂る小山が周りから浮いたようにひょっこりと顔を覗かせているのだが、この小山も昔は離れ小島だった。島の呼び名はいくつかあり、水鳥(方言で「ガーナー」)が集まってくる森(ムイ)だから「ガーナームイ」、クジラの形に似ていることから「クジラ山」とも呼ばれてきた。
この小島自体が巨大マジムン(化け物)だったという昔話もある。自由にあちらこちらを動き回っては、人々を襲い村や田畑を荒らす手の付けられないマジムンで、特に、国場川の少し上流に位置する真玉橋あたりがひどい被害を受けていたという。そこで村人は、どうにかこのマジムンを退治してほしいと天の神に祈った。
すると願いが聞き入れられ、神は天から3つの巨大岩を投げつけた。それがマジムンの尻尾に命中して動けなくなり、その後固まって山となった。それがガーナームイだという。昔の写真を見てみると、確かに3つの岩が尻尾に刺さった化け物のようにも見えるし、現物を見ると今にも動き出しそうな感じさえ受ける。