現状を底として回復への期待感 沖縄県内企業、7月景気動向調査

 

 帝国データバンク沖縄支店が、7月の県内企業の景気動向調査を発表した。「景気が良い」と答えた企業から「悪い」と答えた企業を差し引いた数値の景気DIは、前月に比べて2.2ポイント改善した37.2となり、前月に続いて2ヶ月連続で改善となった。同支店は、緊急事態宣言が繰り返し延長され、経済活動に制限がかかる中での改善ではあるものの、全国の40.7、九州の40.5に比べると「依然として低水準」と指摘している。
 調査はインターネットで、県内81社が回答した。

帝国データバンク景気動向調査より

コロナ禍長期化で資金不足増加も

 業界別で見ると、7業界のうち6業界が改善している。新型コロナで休業している飲食店の影響を受けている「卸売」は前月比3.8ポイント減となったが、「運輸・倉庫」は同22.2ポイント増、「不動産」と「小売」はともに同8.3ポイント増で大きく改善している。次いで「製造」が3.9ポイント、「サービス」が2.4ポイント、「建設」が1.7ポイントの増加となった。規模別DIでは、中小企業が36.9ポイントで前月比3.3ポイント増。一方大企業は前月から10.0ポイント減の40.0ポイントで悪化した。

帝国データバンク景気動向調査より

 先行き見通しDIでは、3ヶ月後が42.0(前月40.4)、半年後が46.5(同45.1)、1年後が52.1(同49.4)となっており、全指標が3ヶ月連続で改善した。1年後の数値は九州ブロックでもトップの水準で、ワクチン普及への期待があることに加えて「緊急事態宣言下の現在を“底”として、今後の回復への期待感が現れる結果」と指摘している。

 景気や先行き見通しの数値には期待感が表れているものの、今年は3月を除いた全ての期間で何らかの感染防止措置が講じられて経済活動が制限されており、企業からは「先が見えない」という声も出ているという。同支店は「コロナ禍の長期化により、資金不足に陥る企業の増加を危惧する声もある」としている。

倒産企業は1件

 同支店による沖縄県企業倒産集計によると、7月の倒産件数は1件だった。前月は2件、昨年の同時期は5件となっている。現状での倒産件数は抑制されているものの、休業要請を受けている飲食事業者では給付金の支給遅れで資金繰りに窮しており、支給までの短期借入金の導入について金融機関に相談するケースも増えているという。同支店は、こうしたケースが今後増加する可能性は高く「楽観視することはできない」との見方を示している。


真栄城 潤一

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1985年生まれ、那覇市出身。
元新聞記者、その前はバンドマン(ドラマー)。映画、音楽、文学、それらをひっくるめたアート、さらにそれらをひっくるめた文化を敬い畏れ、そして愛す。あらゆる分野のクリエイティブな人たちの活動や言葉を発信し、つながりを生み、沖縄の未来に貢献したい、と目論む。

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