高嶺剛監督作品が大きな反響 台湾国際映画祭で特集上映

 

 今年の5月上旬、台湾でコロナが爆発的に増える直前、第12回台湾国際ドキュメンタリー映画祭(Taiwan International Documentary Festival)が無事に台北各地で開催された。2年ごとに開催される本映画祭は台湾で最大のドキュメンタリー国際映画祭だ。
 日本の山形国際ドキュメンタリー映画祭と年を分けて、元々は2020年に開催される予定だったが、コロナにより2021年に延期されていた。今回の目玉企画の一つは沖縄を代表する映画監督・高嶺剛の特集である。高嶺監督特集が海外映画祭で組まれることはとても貴重なことで、本来であれば高嶺監督も来台して「ライブシネマ」というスペシャルイベントを開催する予定だったが、渡航困難となったためイベントはキャンセルされた。

高嶺剛監督のドキュメンタリー?

『サシングヮー』映画スチール(Taiwan International Documentary Festival提供)

 なぜこのドキュメンタリー映画祭が高嶺監督の特集を企画したのか?と思いながら参加してみると、実は高嶺監督のフィルモグラフィはドキュメンタリー作品から始まったことを知った。

 今回の特集では合わせて6本の作品が選出され、その中には監督デビュー作である『サシングヮー』(1973年)と『オキナワン・ドリーム・ショー』(1974年)という実験的なドキュメンタリーがあった。京都教育大学在学中に8mmカメラを手に入れ、復帰前後の沖縄の「現在」を何かの「モノ」として掴もうとする思いも、若き時代に作られたこの2作品も、いずれも重たい記憶のようなムードに包まれている。

 一枚の家族写真を重ねていく手の体温を感じる『サシングヮー』は、1960年代で西洋で流行った実験映画の「手作り」フィルム感がある。そして、復帰前後の「記録詩」である『オキナワン・ドリーム・ショー』は現在から見れば貴重なアーカイブでもあり、「もう戻れない」沖縄の日常風景と音声、音楽を実験的に組み合わせ、アメリカの実験映画巨匠ジョナス・メーカスの影響も感じさせる、夢のような日記映画だ。

『オキナワン・ドリーム・ショー』映画スチール(Taiwan International Documentary Festival提供)
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