高嶺剛監督作品が大きな反響 台湾国際映画祭で特集上映

 
若きアーティストの邱若竹(Rochu Chiu)による映画をモチーフした水彩絵

台湾の観客からの反響

 この特集では6本のみだったが、台湾の観客には高嶺監督の世界観が簡潔に紹介されていた。映画祭側は事前にメディアなどで評論や紹介記事を多数掲載しており、また若きアーティストの邱若竹(Rochu Chiu)に依頼して映画を水彩絵として表現した。上映前でも映画監督・詩人の鴻鴻(ホンホン)によるトークが数回あった。その多彩な宣伝によって、台湾のシネフィルを中心に反響が大きく、筆者が行った数回の上映はほぼ満席だった。

 中でも一番台湾の観客が共鳴したのは『ウンタマギルー』だった。わかりやすいマジックリアリズムの表現が好評だったとのこと。ほかの数作品、特に『変魚路』は膨大な沖縄の信仰風土や民話が含まれており、台湾の観客にとっては多少難解な部分ありそうだが、沖縄が台湾の映画祭でここまで紹介されたことは非常に珍しく個人的に感動した。

大城美佐子と台湾の国宝民謡歌手金門王・李炳輝と一緒に合唱するシーン Tsuru-Henry©桑本正士

 映画祭の開催直後、台湾でもコロナが爆発し、映画館も長く休業したことを考えると、この奇跡的なタイミングで偶然台湾にいたことを不思議に思う。映画館で『夢幻琉球・つるヘンリー』を鑑賞した時、台湾を代表する監督・蔡明亮(ツァイ・ミンリャン)作品の常連である陳湘琪(チェン・シャンチー)がカメオ出演していることや、また今年亡くなった大城美佐子と台湾の国宝と呼ばれる民謡歌手・金門王(2002年に亡くなった)・李炳輝が一緒に合唱するシーンがあり、もう実現することのできない風景がじんわりと胸にしみた。

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