沖縄の最高路線価、3年ぶりに上昇 コロナ禍からの回復など影響
- 2023/7/4
- 経済
沖縄国税事務所は3日、相続税や贈与税の算定基準となる2023年1月1日現在の路線価(1平方メートル当たり)を発表した。沖縄県内での最高路線価は22年連続の「那覇市久茂地3丁目 国際通り」で、コロナ禍からの回復などを背景に3年ぶりに上昇に転じ、前年比2.1%上昇の1平方メートル当たり145万円となった。
バブル崩壊後、沖縄の最高路線価は低迷を続け、2003~16年は1平方メートル当たり50万~60万円付近を推移していた。その後、上昇に転じて20年に同145万円をつけたものの、コロナ禍で2年連続してわずかに下落。今回の上昇で、コロナ禍前まで戻したことになる。
都道府県別県庁所在値の最高路線価を比べると、那覇市は昨年から順位を1つ下げたが、千葉市や岡山市などに続く15位につけた。県庁所在地における最高路線価の上位15地点中、昨年は那覇市を含めて5カ所が前年から下落していたが、今年は熊本市だけが前年から下落し、千葉市を除いてすべて上昇に転じている。
また、県内の標準宅地(商業地、住宅地、工業地含む)約3200カ所のうち一部を除いた平均値の変動率は、前年比3.6%で9年連続の上昇となり、上昇率も昨年の1.6%から拡大した。都道府県別で、沖縄の上昇率は昨年と同じく全国4位。沖縄の土地取得需要の強さを改めて印象付けた。沖縄より上位となったのは、北海道、福岡県、宮城県だった。
国土交通省地価公示の評価員、代表幹事を務める不動産鑑定士の仲本徹氏は、沖縄の地価動向について「商業地は、政府の支援策もあり国内観光客が回復し、外国人観光客の受け入れも始まって投資意欲が強まってきた。住宅地も、政府の低金利政策や住宅ローン減税の継続で住宅取得マインドが上がった。工業地も物流用地などで購入意欲が強い」と語った。
先行きについては「右肩上がりの傾向が続くのではないかとも思うが、国際的に金利が上昇しているので、注視する必要がある」と述べた。
沖縄国税事務所管内の6税務署の最高路線価は、昨年は下落した那覇税務署管内を含め、全ての地点で上昇した。
沖縄都市モノレール全19駅のうち、駅前の路線価が最も高かったのは県庁前駅で1平方メートル当たり110万円。次いで旭橋駅の同62万円、牧志駅の同60万円などと続いた。
路線価は、1月1日を評価時点として、1年間の地価変動などを考慮し、地価公示価格などを基にした価格(時価)の80%程度をめどに評価している。
(記事・写真・図 宮古毎日新聞)