どうして違う? 本土のお盆と沖縄の「旧盆」
- 2021/8/14
- 社会
お盆真ん中の日「ナカビ」は、親戚を訪ね歩いて周る。その際にお中元を贈るのが沖縄特有の慣わしとなっているが、そもそもお中元の起源は道教の「中元節」。先祖や死者へのお供え物という考え方であり、上司や目上の方に贈るというスタイルはごく最近になってからである。
トートーメー(位牌)のある家では多くのお客さんを迎え入れ、ご先祖様が親族やお客さんと気兼ねなくユンタク出来る日だ。お供え物も豪華なクヮッチー(ご馳走)というよりは、ソーメン汁や甘いぜんざい、レモンケーキなどをお供えして、ゆっくりしてもらう日となる。
ちなみに伝統的な沖縄民家の間取りは、仏壇のある二番座が、客間である一番座と居間である三番座の間にあり、家屋の中心部分となっている。ここにも沖縄らしい先祖崇拝の重要さが表れているのだ。
最終日は「ウークイ」で、トートーメーを前に盛大な宴を開き、ご先祖様にも存分に楽しんでもらって、ウチカビを燃やし(あの世のお金を燃やし持って行ってもらう)、手を合わせてあの世へお見送りをする。よく「ウークイだけは集まりなさい」と言われるは、こういった先祖を敬い思いやるウチナーンチュの心の現れだろう。
家族ごとの見送りが終わる頃、地域の青年会が集まり翌日の明け方にかけて、期間中に迷い込んだ浮遊霊の供養を踏まえつつ、ご先祖様をあの世へ送り出す儀式を始め出す。
「エイサー」だ。
エイサーのルーツは「念仏踊り」と言われている。念仏踊りは福島の「じゃんがら念仏踊り」が発祥とされており、1600年頃に岩城の國の袋中上人が琉球に滞在中に伝えられたとも言われている。今でこそエイサーは沖縄を代表する伝統芸能であるが、もともとはこのような起源がある。
コロナ禍で厳しい状況が続き、さまざまな制限があるとは思うが、もしお盆行事やエイサーを観る機会があれば、是非このような歴史背景も踏まえ、ご先祖様と会話をしてみてはいかがだろうか。