沖縄が復帰後初めての人口減少 総務省が2022年の人口推計を発表
- 2023/4/14
- 社会
総務省が2022年10月1日時点の人口推計を発表した。沖縄県は21年の同日比で145人減の146万8318人となり、本土復帰した1972年以降で初めて人口が減少に転じた。人口増減率でみると、21年時点の0.07%増に対して22年は0.01%減となっている。全国の中でも高い出生率を誇り、長らく人口増加を“独走”してきた沖縄にもとうとう少子高齢化の波が本格的に訪れることになりそうだ。
流入数は増えたが死亡数が出生数を上回る
人口の変動は死亡数と出生数の差による「自然増減」と、流出数と流入数(=移住者)の差による「社会増減」の2つの側面を総合して増減率を求める。例えば出生数が多い場合は「自然増」、流入数が多い場合は「社会増」といった具合だ。
これを踏まえた上でみると、沖縄の人口変動は自然減、社会増となっている。つまり、流入数は増えているものの、死亡数が出生数を上回っているということになる。実数をみると、社会増減の571人増に対して、自然増減は716人減。今回の人口減の主な要因はここにあると考えられる。
自然増減については今回沖縄が減少に転じたことで、比較可能な統計がある1950年以降で初めて全ての都道府県で減少になった。
そのほか、沖縄の男女別の人口は、2021年比で男性が403人減の72万2776人、女性は258人増の74万5542人。年齢別の人口割合では、15歳未満が16.3%で全国の中で最も高く、75歳以上人口の割合を唯一上回っている。一方で、65歳以上人口の増加率は前年比で最も高い1.6%増となっている。
総人口は55万6000人減、12年連続で減少
日本全国の総人口は1億2494万7000人で前年比で55万6000人(-0.44%)減で、12年連続の減少となった。このうち日本人人口は1億2203万1000人で、前年比75万人(-0.61%)減。11年連続で減少幅が拡大している。
総人口を男女別でみると、男性は6075万8000人で前年比26万1000人(-0.43%)減で15年連続減少、女性は6418万9000人(-0.46%)で12年連続の減少となっている。総人口に占める割合は男性48.6%、女性は51.4%。
全国の自然増減は73万1000人減で、16年連続の減少で年々減少幅が拡大している。男女別でみると、男性が37万1000人、女性が35万9000人となっており、男性がやや多い傾向にある。
一方、社会増減は17万5000人増で、2年ぶりに増加となった。日本人・外国人別でみると、日本人が1万6000人減に対し、外国人が19万1000人の増加になっている。
都道府県別の人口に目を向けると、増加したのは東京都のみで増加率は0.2%となっており、前年の減少から増加に転じている。減少率が前年比で拡大したのは23道県で、その拡大幅が大きかったのは順に岩手、福井、和歌山だった。
全国的な人口減と少子高齢化の進行によって、これまでの社会保障システムを維持するために現役世代への負担が増している中で、ついに沖縄でも同様の動きが今後本格化していくことになる。沖縄は島嶼県で、周辺にはさらに小規模の島々が点在していることから、保育や教育、医療などのインフラも含めて、社会システム維持の面で今後非常に困難な局面に遭遇することは容易に予想できる。というか、地域によっておそらく既にそうした事態は起こっているだろう。
少子化対策については、国の政策でしか対応できない規模の枠組みも当然あるが、一方で県、市町村、そして民間企業などのそれぞれのレベルで展開できる施策もあるはずだ。全く楽観視できない将来に、一筋の光を差し込むような取り組みを試みる動きが出てくることに期待したい。
■関連リンク
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