琉球の川シリーズ③ 首里の古道と真嘉比川
- 2021/3/1
- 社会
龍潭通りから鳥堀に向けて上って行くと、目の前にかなり妙な形の交差点が現れる。首里中学校前の大きな交差点に差し掛かる手前、右手にもう一本短い道がある。その道へまっすぐと進むと、突き当たり交差点を左折しかできないという奇妙な小道と大きな本線との間には、謎の三角州のような場所がある。敷地内に1mくらい窪んだ空間があり、池の如く水の張るスペースが顔を出している。
一体ここは何なのか?
そこで昔の地図と見比べてみる。すると実は、現在の鳥堀交差点は比較的新しく、以前はその妙に短い方の道がメイン道路であったということが分かる。以前は龍潭から鳥堀に向かう場合、一度交差点で左折をしてすぐに右折をしないと西原方面へは抜けられなかったが、大胆に左手側に大きな道路を開通させることで直進で西原へと抜けられるようにしたわけだ。
しかしそこには真嘉比川が流れており、地下に暗渠を通す形で川の上に現在の大きな道路が敷かれ、現在の形となった。その川面の一部が今でもこの三角州に存在しているというわけなのだ。
そしてここからが本来の真嘉比川の冒険!
真嘉比川沿いの首里古道と歴史スポット
真嘉比川の起点とされるAコープ前から、川に沿って昔ながらの首里の細道を下っていくと、様々な歴史スポットを楽しみ歩くことができる。
例えば、人1人しか歩くことが出来ないような狭さの昭和感溢れる橋があったり、個人宅専用としか思えない占有橋が川の上に掛かっていたり、昔ながらのカー(井戸)から現在でも水が湧き出て緑生い茂る公園、やはり首里は歩いて回らないとその良さを見逃してしまう。
ここでこれから先に話題になりそうなスポットも一つ紹介したい。
龍潭通りから一つ北側の中道に入った川沿いになるのだが、「伊江殿内庭園」という王族名門・伊江家の屋敷庭園跡が人知れず潜んでいるのだ。中国式の雰囲気が色濃く残る庭園で、当時の庭石などがそのままの姿で残っている。ただ、長年による雨風の影響で痛みも激しく、現在整備の真っ最中だ。整備が完了すれば、今後首里の見所の一つとなるかもしれない。
さらに川に沿うよう中の細道を下りていくと、上之橋という古い石積みの橋(舗装面は補修されているが、トンネル部分は今でも石積みが見て取れる)、現在も尚家に琉球伝統菓子を納めているという新垣カミ菓子店、環状二号線に出てからは石積みの壁からコンコンと湧き出る湧き水「宝口ヒージャー」、さらにその湧き水の隣では那覇なのに滝が流れていたり!(人工滝だが圧巻!)
そこから真嘉比川はしばらく環状2号線と並行するように流れ、真嘉比方面〜松川方面へと下っていく。