琉球の川シリーズ③ 首里の古道と真嘉比川

 

 真嘉比エリアには、前回お届けした「金城ダム」と対を成すかのように、「真嘉比遊水池」という簡易ダムのような役割をする遊水池公園がある。普段はだだっ広い窪んだ敷地の芝生公園で、河川敷のようなイメージだ。

 しかし、一旦豪雨や台風などで急激に川に流れ込む水量が増えた場合には、その広場全体が一時的に水を蓄え洪水・氾濫を抑える役割を果たすのだ。

結構な雨が降った後の状態の真嘉比遊水池入り口。これ以上になってくると右側の堤防を超え溢れ出し、原っぱへと流れ出す

 安里川の水量調節を金城ダムが、そして真嘉比川の水量調節を真嘉比遊水池公園が担っているというわけだ。さらに近年では安里川親水公園も整備され、ようやく深刻な水害を抑え込むことができるようになった。

 ところで、今でこそ那覇の中でもトップクラスの人気住宅エリアとなった真嘉比ではあるが、真嘉比遊水池公園が出来る以前、真嘉比がどんなエリアだったか覚えているだろうか?

人気住宅地の真嘉比には、幽霊が現れた!?

 実は私、若かりし頃に縁あって那覇市内の墓調査のアルバイトをしたことがある。区画整理のための調査で、無縁墓なども一つ一つ面積や高さ、どれくらいの古さなのかを調べた。

 私の班が振り分けられたエリアがまさに真嘉比近辺で、当時の真嘉比はすごく墓の多い場所であったし、夜などは正直ちょっと怖いイメージもある場所であった。しかも真嘉比道は琉球時代から「マカンミチ」と呼ばれ、「マカンミチの逆立ち幽霊」という有名なお化け話があるぐらいだった。

 マカンミチという古道は首里から歓楽街である那覇へ抜ける裏道でもあり、男どもが夜な夜なコソコソと隠れ歩く道でもあったんだとか。となると、もしかすると大人の男たちが、子供達にこの道を通る姿を見られたくないという思いから、そこには近づかないように!と幽霊話を作り上げたのかもしれない。

 本題の真嘉比川はというと、真嘉比を流れ下り松川辺りで安里川と合流、さらに大きな一本の安里川となって国際通りも横切り、最終的に久茂地や泊辺りに流れ着いているのだ。

 そして実はこの安里川と真嘉比川という二本の川の関係には、首里城を含めたもっと深い関係がある。次回の「琉球の川シリーズ」最終回では、そちらの総仕上げとしての内容をお届けしよう。

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