市政刷新訴えに「反現職」票が呼応 新人勝利の宮古島市長選

 
玉城デニー知事(右)とともに有権者に市政刷新を訴える座気味一幸氏(中央)

 選挙戦の最中には玉城デニー知事も宮古入りし、座喜味氏とともに離島振興の重要性などを中心に街頭演説で支持を訴えた。
 2人が並んでマイクを握る姿には、両陣営の関係者から何とも言えない感想が漏れ出た。「あの2人が手を取り合う姿を目にする日が来るとは思わなかった」(座喜味陣営関係者)。「なりふり構わないというか、『昨日の敵は今日の友』という言葉そのままの光景だ」(下地陣営関係者)。

 また、有権者にとって「好き嫌いの選挙」だったのも今回の市長選の傾向の1つだ。両候補者の打ち出す政策そのものよりも「現職か反現職か」というシンプルな選択が判断基準になった。3期12年という“長期市政”に対して、「長すぎる」「もういいかな」という感覚を持った有権者が無党派層も含めて一定の広がりを持ち、反現職票が伸びた可能性が高い。フタを開けてみれば2,782票の差がついていた理由の一端はこの辺りにありそうだ。

陸自問題、市民所得アップ具体化の行方は

「新たな市政の幕開け」を高らかに宣言することになった座喜味氏だが、課題も多い。

 市政刷新のために保革の枠を超えてワンチームで選挙戦を乗り切ったが、今後様々な局面で内部の対立が表面化する可能性が少なくない。
 とりわけ気にかかるのは陸上自衛隊配備計画を巡る問題だ。基本的に「容認」の見解で、住民への十分な説明をして理解を求めるという落とし所をつけてはいるが、配備計画に反対してきた市民らの中には不満も燻る。今後の市政運営の中で対話を重ねながら整合性を図れるか手腕が問われる。

 また、宮古島経済の基幹である建設業界や観光業界からは「下地市政とのギャップで冷え込むのではないか」という懸念の声が早くも出始めている。県外から参入したホテル事業と地元観光業界のリンクなど、下地市政でも大きな課題となっていた市民生活に直結する政策への取り組みも急務だ。選挙戦での政策に「市民所得の10%アップ」を掲げているが、どこまで具体性を持って実現の道筋を立てられるか能力が試される。

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真栄城 潤一

投稿者記事一覧

1985年生まれ、那覇市出身。
元新聞記者、その前はバンドマン(ドラマー)。映画、音楽、文学、それらをひっくるめたアート、さらにそれらをひっくるめた文化を敬い畏れ、そして愛す。あらゆる分野のクリエイティブな人たちの活動や言葉を発信し、つながりを生み、沖縄の未来に貢献したい、と目論む。

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