「タイトルで90%決まる」沖縄のこれからのブランディング(1)

 

広報視点でツールを見極める

 企業のブランディングツールとして、代表的な4つの手法も紹介した。

 1つ目はYouTube。コロナ禍になって、特にライブ配信者の分母が増え、視聴者も増えているという。「ただ、その状況の中で動画を見てもらうための戦略をしっかり練ることは必須になってくる。その分きちんとやれば、爆発的に伸びる可能性がある」

 続いてはクラウドファンディグだ。基本的には資金調達のための動きではあるが、現在は意図的に目標達成金額を低く設定し「広告という位置付けで利用している企業も増えている」と現状を分析する。手数料を払えばサイト上で商品のPRができるため、実質的には広告費用を削減できるという。

 3つ目は電子書籍。これまで10~20代の漫画読者が多かったが、徐々に30~40代の世代がビジネス書を読むツールとして使い出しており、紙から電子への移行が進んでいる。現在電子書籍を活用して会社概要やパンフレットを作成する企業も増えているという。通年で見ると紙での作成よりも10~数十万円のコストカットにもなることから「導入のメリットは大きい」とした。

 最後はSDGsで「取り組む企業がどんどん増えている」と説明。これまでのCSR対応で十分、新しいことに取り組む余裕がない、メリットが分からないなどといった理由で敬遠している企業もいるが「考え方によっては無料で価値の高い広報ができるツール」と強調する。
 県や全国、世界でもSDGsに関する活動の機運が高まり、自社利益や地域経済や価値向上を図るための判断基準になりつつある中、自社のブランディング強化のためのツールとしての活用法を模索するのが現代にマッチした捉え方ではないかと提案した。

変化はコントロールできない

 発信する情報の内容やツールについて踏まえた上で今井氏は「様々な選択肢があるが、全員に共通する“正解”があるわけではなく、それぞれの企業や個人の特性を前提にしながらツールを選ばなければならない」と述べる。
 自分の弱みや強みを把握した上で、広報視点でのブランディングの仕方を理解できれば「メディアとの適切な距離をつかむことができる」という。

 コロナ禍になり、これまでの目先の利益を優先して運営していた状況には戻れないことも指摘し「コロナ前のような“元の場所”には戻らない。無理に新しい物事を生み出すのではなくて、今ある物の価値を見直していくことも大切。競争だけでなく、新しい価値を共に歩作り出せるパートーナーがいるかどうかも今後大きなポイントとなる」と語った。

 また、現在の厳しい状況が「これまでの自社ブランディングツールを見直すきっかけになる」とした上で「リピートするユーザーを生んでいくようなファンを作る仕組みを構築することにどれだけきちんと向き合えるかが問われている」とした。

 BSAのDMMオンラインサロンで、講演の見逃し配信を行っている。詳細はhttps://lounge.dmm.com/content/9302/

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真栄城 潤一

投稿者記事一覧

1985年生まれ、那覇市出身。
元新聞記者、その前はバンドマン(ドラマー)。映画、音楽、文学、それらをひっくるめたアート、さらにそれらをひっくるめた文化を敬い畏れ、そして愛す。あらゆる分野のクリエイティブな人たちの活動や言葉を発信し、つながりを生み、沖縄の未来に貢献したい、と目論む。

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