SNSで成功するためにすべきこと 沖縄のこれからのブランディング(2)
- 2020/12/23
- 経済
SNS上での広報・マーケティングの普及を目的に活動する「Buisiness Style Academy 沖縄(BSA)」が開いた「沖縄のこれからのブランディングを考える」講演会。第2部では、講師を務めた今井雄也氏と、BSAの園田めいさんが広報とSNSについてスペシャルシンポジウムを行った。
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コロナ禍、SNS活用で明暗
導入では、コロナ禍でSNSをツールとして活用したかどうかで、企業や事業者の間に大きな差が生じた現状について議論した。
園田さんは「SNSの導入が遅れた所は利益を伸ばすことができず、苦労したパターンが多い。飲食店だと、せっかくテイクアウトを始めても情報発信しなければ購入者が知ることはできない。逆に、インスタグラムやLINEなどを上手く使って発信していた所はきちんと収益化につながっている」と分析する。
県内の観光産業については「Go Toもあって入域観光客数も増えてはいるが、それでも従来の60%も回復していない事業者も多い。一方では、SNSを活用して前年比80%以上まで持っていく所もあって、明確に差が出ていると思う」とした。
さらに、観光産業に関わる事業者に聞き取りした中で、ほとんどが自身の店の顧客リストを作成していない現状が「衝撃的な事実」だったという。
「これまで旅行客が積極的に商品を買っていた状況にかまけて、お客様情報に価値を見出してこなかったことを意味している。業態として、業界としてこのような状況では、急にECサイトを作ってもそもそもお客様とつながっていないので、売れないしリピーターも作ることができない」と厳しく指摘した。
これを受け今井氏は「とても意外な話だ」と驚きを隠せない様子。観光で訪れた土地では、旅行者が使う金額は多少高めになる傾向があることを踏まえて「言うまでもないが、沖縄にはSNSで発信すると受けるようなストーリーやパーソナリティの素材が溢れているし、そうした発信をしているお店や商品は入りやすいし、買いやすい」と語る。
見せ方や手法をきちんと自分で捉えながら、意味と意図、さらに戦略を練ることにも注力しなければ「生き残っていけない現実が目の前にある」と強調した。
ギャップで話題性を作る
SNSをツールにして情報発信する時の注意点もテーマに挙がった。
「SNSの投稿で発信していく際、実際に見かけたことあるのが『こんなサービス始めました』というだけの情報。この時、申し込みや予約などに誘導するリンクを付けるか付けないかが大きなポイントになる」と園田さん。
闇雲に情報を投げっぱなしにするのではなく、その情報にどれだけ「いいね」がもらえるのか、どれだけコメントが来たのかを追いかけることが大事という。「例えば自分が申し込みした時などを考えてほしい。買う気でいたのに、申し込み方法が分からなかったり、古いリンクに飛んだりすると購買意欲は削がれる」
今井氏は発する情報に「ギャップ」があるかどうかに着目する。一見ネガティブなことも、やりようによっては“とっかかり”になりうるという。
「ギャップのあり方は業種や業態によってもちろん違う。ファッションを発信している人がダサい、というのはさすがにネガティブなギャップ。でも例えば、育毛剤の売り場で1人だけ薄毛の人が『これ効くんですよ~』と販促していたら、アイコニックな存在になる可能性がある。“薄毛の人が売る育毛剤”と言う売り文句は、世間的に言うとなんじゃそりゃとなるが、逆に言えばそれは人目を引く」と具体的な例を示した。
「これを売ったら何か言われるのでは」「ちょっとおかしいんじゃないか」という懸念も含んだ情報や商品は、世に出した時に賛否が割れるが、その「良い」と「悪い」がせめぎ合っている時に最もアクセス数が伸びる。
「この時に何が起きるかというと、その情報について色んな人が考える。しっかりと考えた上で商品を手に取った場合は、純粋なファンになる。もちろん、逡巡して買わないパターンもある。こういうブランディングの仕方もあるので、実は『これをやってはいけない』という制約はあまりない」