海外にも首里城、県系人の活動拠点 焼失から1年、各地で再建願う
- 2020/12/22
- 社会
「琉球王国のグスク及び関連遺産群」として世界遺産に登録された「首里城」で火災が起きてから、10月に早1年が経過した。沖縄県民に長く愛される名所のひとつで、突然の出来事に多くの人が言葉を失い、心を痛め、県内はもとより全国、世界のメディアで報道され、すぐさま再建に向けて寄付を呼びかけるイベントや活動が行われるなど、国内外から多くの寄付が集まった。
今や約42万人といわれる海外に広がった県出身者や県系人らも、首里城再建義援金集めのイベントを世界各地で実施したり、団体、個人でできることをそれぞれが取り組んだりした。再建に向けた取り組みについて聞く中で、海外にも、故郷・沖縄を思い設置されてきた首里城や守礼門をモチーフとしたレプリカや巨大画が多く存在することが分かった。
ブラジル・サンパウロの首里城
ブラジルの東部に位置する最大都市・サンパウロには、ブラジル各地の県人会を束ねる本部を担うブラジル沖縄県人会がある。所有している会館のホールの舞台幕には首里城が描かれ、県人会や沖縄に関するイベントでは必ずといっていいほど、描かれた首里城が顔を出し、県系人らの活動を見守っている。
ブラジル沖縄県人会は、首里城火災の事態を受けて、すぐさま首里城再建義援金集めのイベントを行った。「ちばりよーうちなー (頑張れ沖縄)」と題して、民謡や踊り、創作エイサー、創作歌劇などを披露し、県人会関係者ら約800人が出席、演者総勢約300人が登場し、日本円で約135万円以上の寄付金が集まった。「首里城は沖縄県人にはとても大事なもの。何かしたいという気持ちが強い」「世界中の沖縄県人と子孫が一体となって母県を助けたい」「首里城はウチナーンチュのシンボル。世界中の同胞と連絡を取り合い連携したい」などと関係者らは声をあげた。
那覇市と姉妹都市、ブラジル・サンビセンテ市の守礼門
ブラジルの南東部に位置するSão Vicente市(サンビセンテ)には、守礼門が設置されている。側には守礼門と書かれた説明書きの看板も見られる。サンビセンテ市は、戦前、沖縄から多くの県出身者が移住し、多方面で活躍している県系人が多く、その一人である県系2世の伊波興祐氏がサンビセンテ市長を務めていた1978年に、沖縄県人ブラジル移住70周年を記念して、サンビセンテ市と那覇市が姉妹都市を締結した。守礼門は、姉妹都市20周年を記念して伊波興祐公園に建てられ、エイサーの練習場所にもなっている。
サンビセンテ市と那覇市は交流が深く、サンビセンテ市には那覇幼稚園があり、歴代の市長の名前をつけた教室もある。現在でも両市長が相互訪問を行うなど交流が続き、これまで絵本の寄贈の他、那覇市職員、那覇西高校サッカー部、エイサー普及を目的に那覇太鼓の派遣を行なってきた。