沖縄県内の景気「拡大基調」 日銀那覇支店10月

 
沖縄の2023年10月金融経済概況について説明する日銀那覇支店の小島亮太支店長=11日、日銀那覇支店

  日銀那覇支店(小島亮太支店長)はこのほど、2023年10月の県内金融経済概況(主要指数は8月)を発表し、県内景気の判断を「拡大基調にある」へ引き上げた。判断の引き上げは6カ月ぶりで、「拡大」の表現が入るのは20年3月以来となった。判断の引き上げには、観光の好調や住宅投資の下げ止まり、設備投資の増加予測などを考慮した。

 個別項目では、観光について、全体と同じく「拡大基調にある」に引き上げた。また、これまで「弱めの動き」としてきた住宅投資を「下げ止まっている」とした。個人消費は「緩やかに増加している」との判断を維持した。

 観光では、8月の主要ホテル客室稼働率が台風6号などの影響で61.0%と前月比で9.3ポイント下落したものの、9月の速報値は66.1%まで回復した。

 同支店は「一部からは、旅行費用の値上がりなどによりブッキングペースが鈍かったとの声が聞かれているが、総じて9月は堅調に推移した。10月以降は団体旅行が増える時期を迎える」と指摘した。

 また、「インバウンド客も、国際線の就航やクルーズ船の寄港予約が順調に増える中で、振れを伴いつつも増加すると見込まれる。宿泊、観光関連施設や免税品を取り扱う小売店舗をはじめ、県内経済に幅広く恩恵が及ぶと期待される」とした。

 住宅投資では、新設住宅着工戸数が3カ月連続で前年を上回った。貸家では、二人世帯やファミリー向けの広めの物件が緩やかに増加しているという。

 同支店では「先行きの不確実性は小さくないが、こうした物件では家賃を引き上げる動きがあり、不動産利回りが底入れする兆しも見られている」と分析している。

 県内景気の先行きは、「拡大基調が続くとみられる」に引き上げた。一方で、小島支店長は「資源高や物価上昇は企業収益や家計の実質所得を下押しする。観光の持続性は国内外の政治経済に強く作用される。その影響については、注意深く見ていく必要がある」と述べた。

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