海外で活躍の県出身3人が配信対談「スキル組み合わせ年収は数倍に」
- 2020/12/11
- 社会
「世界がぜんたい幸福にならないうちは個人の幸福はありえない」という言葉に象徴される宮沢賢治の思想に惹かれた。しかし、世界の富の格差や飢餓の問題などに対して、中学生当時の鶴渕さんはどう向き合って良いか分からず、せめて飢餓で苦しむ人と同じ苦しみを少しでも共有したいと、拒食症になった。心身のバランスを崩したことで入退院を繰り返したが、行きついたのは「自分を痛めつけても世界は変わらない。恵まれた環境があるなら、その環境をとことん活かして少しでも何かできる人間になろう」という決意だった。
カリブ海諸国政府の気候変動政策に関する調査分析を主に行う仲村さん。米州開発銀行で働き始めたきっかけは異色だ。
当初、JICAの青年海外協力隊としてジャマイカ勤務していた時期、首都キングストンで偶然出会った人に、自身の目標や展望を語っていると、その人のつながりで米州開発銀行の管理職の男性を紹介してもらった。世界中何百何千もいるエリート層が米州開発銀行に履歴書を送る中、仲村さんを採用した理由について管理職の男性はのちにこう語ったという。「あなただけが『お金は要らないから、コーヒー汲みでもトイレ掃除でもさせてほしい』と言ったからです」
同僚はハーバード大やケンブリッジ大などを卒業したエリートだらけ。一方、自身は普天間高校、沖縄キリスト教学院大学を卒業しており「そういう意味では僕はエリートでも何でもない」と言い切る。「まずは『そこで働きたい、働けるんだ』という意思を持って、情報収集に努めることが大切です」と話した。
スキルの掛け算で年収は数倍に
三者による対談(鼎談)では、沖縄の子どもたちが将来を描く上で、どのように選択肢や可能性を広げていくことができるかなど、キャリア形成の在り方についても言及された。キーワードは“スキルの掛け算”だ。
金城「クレーンを扱える人って沖縄にたくさんいるじゃないですか。その人が、例えば英語を扱えるようになった時に、おそらく年収は数倍に跳ね上がるんですよ。クレーンの操縦ができる人材は世界的に常に不足しています。だけど世界のどこかでは建設ラッシュがあります。そうなった時にゼネコンさんは『いくら出してもいいから、クレーン操縦の技術がある人を連れてきてほしい』となるんですよ。もし外国語ができると、世界中が仕事場になります。そういった情報が知られていないのはすごくもったいないですし、共有が必要だと思います」