32軍壕の遺骨調査を 「ガマフヤー」具志堅さんが講演

 

DNA鑑定のハードル高く

 県内での遺骨収集の状況については、現在2016年からの調査で約700体が見つかっていると説明した。16年以前は、見つかった遺骨は年度末にまとめて火葬され、戦没者墓苑に納骨して供養されてきた。しかし、具志堅さんらが「家族や故郷に帰したい」との思いから火葬の取り止めを国に要請。発見された遺骨は保存されている。

 ただし、遺骨の特定と返還のハードルは未だ高いままだ。厚生労働省は当初、名前のある遺品が伴っていればDNA鑑定をして特定の手続きに進むとしているが、具志堅さんによると遺品とともに遺骨が見つかるケースは全体の5%にも満たない。2017年からは、それまで検体としていた「保存状態の良い歯」に加え「四肢骨」も対象とした。さらに厚労省は戦没者遺骨について、遺族の可能性がある人たちについてDNA鑑定申請の受付を始めているが、周知が不十分なのが現状だという。「ほとんどの人が知らず、もっと積極的に呼びかけをすべきだ」

具志堅さんの講演に耳を傾ける参加者

 沖縄県内では現時点(10月17日時点)で、これまでに5体の遺骨が遺族の元に帰った。うち4体はガマフヤーの活動で収集された。この5体の全てが、名前のある遺品を伴っていたという。「DNA鑑定での合致基準はまだまだ厳しい」。具志堅さんは遺骨が見つかっても遺族の元に戻れない現状の歯痒さを指摘する。そこで、近年注目されているのが「安定同位体比分析」と呼ばれる鑑定手法だ。個人特定はできないが、歯などの遺骨から出身地域や年代が推定できるため、戦没者のものかどうかに加えて、日本国内でも沖縄のものかどうかまで鑑定が可能という。さらに、ある程度焼かれてしまった骨でも分析可能な上、DNA鑑定よりもコストが低い。

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