32軍壕の遺骨調査を 「ガマフヤー」具志堅さんが講演

 

 現在具志堅さんらが、安定同位体分析のために約700体の中からサンプルを選び出す作業を進めているという。「地元の人は地元でまつられるのが望ましい。亡くなった人たちは死ぬ直前、母親の名前を口にしたという話をよく聞く。その『母親の元に行きたい』という気持ちを、今でもいいから叶えたい」と話す。そのための遺骨と遺族の特定は「国の責任であり、きちんと取り組みを進めなければならないと思う。さもなければ、また同じことが起こりかねない」と強調した。

戦地からの土砂採取に懸念

参加者からの質問に答える具志堅さん

 名護市辺野古で建設作業が進む米軍基地についても言及した。沖縄防衛局が今年4月に提出した設計変更承認申請の中に、本島南部地域から埋め立てのための土砂を採取することが盛り込まれていたことに対し「土砂と一緒に戦没者の遺骨も採ってしまうことになりかねない」と懸念を示した。

 かつて南部の採石場や原野から実際に戦没者とみられる遺骨が発見された例もあるという。遺骨はほとんどが粉砕された状態で全身が残っていないため、発掘の際には手に取って重みや手触りを確かめながら確認する。「重機を使用した作業だとまず気がつかないことが多いだろう」「戦没者遺骨には、沖縄戦で亡くなった日本兵も含まれる。そのまま採取して工事を進めれば、“仲間”の遺骨も埋め立てに使ってしまうことになるのではないか」とし、戦没者の追悼や慰霊の観点からも「非道徳的なのではないか」と疑問を呈した。

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