謹慎の首里ジョー、復帰戦で“感謝のチョップ” 琉球Dプロレス

 
にらみ合うグルクンマスク(左)と首里ジョー(琉球ドラゴンプロレス提供)

 “沖縄の新たなエンターテインメント”を開拓すべく旗揚げから8年目を迎えた「琉球ドラゴンプロレスリング」。長引くコロナ禍で団体存続をかける日々の中、ファンも待ちわびていた男が一回り成長して9月に復帰を果たした。

沖縄に根を張る「琉ドラ」

 県内唯一のプロレス団体、琉球ドラゴンプロレス(琉ドラ)。2012年まで約4年間興行を行っていた「沖縄プロレス」でリングに上がり、沖縄に魅せられたグルクンマスクが翌2013年に立ち上げた。「琉ドラ」は、ハイビスカスみぃ、美ら海セイバー、GOSAMARU(護佐丸)はじめ地元色豊かなリングネームのレスラーが揃う。

 屋内のみならず、イベントや祭り会場、さらには学校や児童養護施設での試合などリングごと移動しての大会開催も地方に根を張る団体ならでは。その琉ドラを応援しようと獣神サンダー・ライガーや天龍源一郎といった有名レスラーたちが団体の枠を越え沖縄のリングに駆けつけ、逆に県外の試合に琉ドラの選手が招かれることも多い。

コロナ禍での運営、オンライン活用も

 「プロレスを沖縄のエンターテインメントに」。旗揚げからの志を貫く一方で、新型コロナの影響は団体にも容赦なく及んでいる。今年は大会が中止に追い込まれたり、再開後もソーシャルディスタンスの観点から観客の入場制限をかけたりと、興行での収入は厳しい状況だ。団体代表を務めるグルクンマスクは試合のWEB配信にもチャレンジし、模索を重ねている。

 「僕らは県外にもファンの方はいらっしゃるので、その方たちには(配信は)有難いとすごく言っていただけるのですが、そこの部分の顧客をどう取り込んでいけるか。いろいろなジャンルでWEB配信はされているので、どう差別化できるか。配信はスマホなどでも簡単にできますが、僕らは(映像制作の)プロに依頼しています。ただ、見ているお客さんにはそのクオリティー(の違い)が見えにくい。正直、収入にはなっていません。やりながら考えないといけない」

琉球ドラゴンプロレスリング代表・グルクンマスク

 琉ドラではクラウドファンディングで製作したチャンピオンベルトをかけた王座決定戦を予定するなど盛り上げを図っている。

首里ジョーの謹慎

 話題作りにも汗かく団体の明るいニュースは”首里ジョー”の復帰だ。大阪出身の元国体ボクシング選手。首里城とボクシング漫画「あしたのジョー」がリングネームの由来だ。腕っぷしと気迫あふれるファイテングスタイルで旗揚げの年から観客を沸かせてきた。しかし去年1月、飲酒運転で検挙され、約1年半の謹慎生活を送っていた。何もかも適当な生活を送ってしまっていたとジョーは振り返る。

 「辞めさせられても文句は言えないことをしました。それでも(琉ドラに)残してくれてチャンスをまだ残してくれていたので、それだけを希望にして頑張っていこうという気持ちでした。グルクンさんにまずは生活を見直しなさい、体を変えなさいと。体が変われば周りの見る目も変わるし自分の意識も変わるというお話をいただいたのでずっと(地元大阪で)仕事をしながらトレーニングの毎日でした」

 苦言を呈しながらも退団はさせなかったグルクンマスクにも迷いはあった。しかし相談した関係者からの”人はやり直せる”という言葉に自身も気づかされたと語る。

 「時代がちょっと急ぎすぎているところがあって、みんなの判断がすごく早かったりする。そこに僕も惑わされていた部分もあって、彼(首里ジョー)に時間をかけて周りの人に理解してもらう大切さを学んで欲しかったんです」 

復帰戦の相手・グルクンマスクに「自分を残してくれた感謝」

 謹慎で帰った地元で、生活のための仕事とプロレスのためのトレーニングを繰り返す日々を送りながら、検挙された意味、リング復帰の意味を首里ジョーは考えた。シンプルにプロレスが好きで駆けつけてくれるファンに喜んでほしい。その原点に戻ることができた。

 「3カ月くらい経った時から体の変化は感じました。腹筋が(割れてきているのが)見えてきました。食事も考えるようになりました。馬肉は(たんぱく質豊富で)筋力をつくるのにすごく良いんです。冷凍で1kg3000円のものを食べていました。酒はもちろん飲んでいないです。始めにあるのは感謝です。こんな自分でも残してくれた感謝やったり復帰戦で相手してくれたグルクンさんへの感謝、あとは以前と変わらず接してくれている仲間とかファンの人たちへの感謝やったり」

 口数が多いほうではないが、自然と出てきた大阪弁の語尾や口調に、質問へ真摯に答えたいという気持ちが伝わってくる。9月に行われた復帰戦。ファンも温かく迎えてくれた。相手をしたのはグルクンマスクだった。首里ジョーは15分37秒、グルクンマスクの必殺技・グルクンドライバーを受け、マットに沈んだ。

復帰戦でグルクンマスク(右)に感謝を伝える首里ジョー(琉球ドラゴンプロレスリング提供)

 「ジョーもフラストレーションがたまっていたんでしょうね。チョップが痛かった。(復帰のチャンスを与えた)判断は間違っていなかったと思います」

 アザができた胸元をみせながら、少し嬉しそうにも見えたグルクンマスク。プロレスラーではあるが、20代の若者でもある首里ジョーが過ちを経た上で見せた成長。あとはリングでファンを喜ばせる活躍を見せるだけだ。首里ジョーはこう誓う。

 「団体が存続できるように頑張っていきたいし、いまの目標は琉ドラで一番になること。また一から恩返ししていきます!オレを見ろ!!」

大会情報などは琉球ドラゴンプロレスリングHP(http://rd-pw.com/

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吉田鉄太郎

吉田鉄太郎

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読谷村出身。県外放送局勤務後、帰郷しFM沖縄・FMよみたん情報番組パーソナリティー、RBCスポーツキャスターなどを経て、現在はQAB報道部にてスポーツを中心に記者業務に携わる。ヴォーカリストの妻とバトントワリングに励む娘と元気に楽しい3人暮らし。

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