もうすぐ「空手の日」 その由来を知ってますか? 沖縄空手の世界⑥

 
2019年の「空手の日」は国際通りにて500メートルにわたる圧巻演武

 沖縄県には独自の記念日がたくさんあります。3月4日はさんしん(三線)の日、3月5日はサンゴの日、3月8日はさんば(三板)の日、4月3日はシーサーの日、5月8日はゴーヤーの日、7月8日はなは(那覇)の日、10月17日は沖縄そばの日です。筆者は毎年10月に入るとソワソワしてきます。一般的には12月の年末になると皆がソワソワしてくるのと同じような感じがします。

 それは、10月25日の「空手の日」があるからです。年に一度の「空手の日」はクリスマス、大晦日、お正月と同様にその日を迎えるのに通常とは違う高揚感を筆者は毎年感じて迎えています。迎春ならぬ迎空、迎拳とでもいうのか。この「空手の日」はいつ、誰が決めたのでしょうか。

 沖縄で空手をやっている人は、「空手の日」をまず知っていることでしょう。ちなみに本土で空手をやっている人に聞くとほとんど知らないとの返答です。筆者が書店で働いている人、居酒屋やお店の人に「空手の日」を聞いてみるとほとんどが知らないとの答えでした。空手に関心のない方が「空手の日」を知らない現実を知らされました。このことは興味関心のないことにはその話題、その人、その記念日には意識がいかないことがいえることでしょう。

 「空手の日」は沖縄で一番の繁華街である国際通りで空手演武が実施されて、当日の夜にはテレビニュースで報道されて、翌日の地元新聞では大きく報道されるので沖縄の人はほとんどの人が知っていると思っていました。しかし昨年「空手の日」演武会を初めて取材して沖縄で意外と知られていない現実を知り驚きました。

「空手の日」の由来は

 では、「空手の日」は、いつ、誰が何の目的で制定したのでしょうか。それは、沖縄空手を広くアピールする目的で2005年に沖縄県議会が制定した記念日です。今年はちょうど15周年の節目となります。

 1936年(昭和11年)10月25日、琉球新報社主催で当時の空手大家たちが集まり空手について座談会がされました。参加した空手家は花城長茂、城間真繁、宮城長順、喜屋武朝徳、本部朝基、知花朝信、許田重発、空手評論家の仲曽根源和。今日の空手流派の源流にあたる空手家たちです。

 この座談会で当時は空手ではなく唐手(カラテ、トーディー)や手(ティー)といわれており名称を参加者が一致して「空手」として決めて宣言しました。この座談会は「琉球新報」に座談会記事として掲載されました。つまり、空手という名称が決められた10月25日を記念日として制定されたのです。

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