“余白”を押し広げる試み なはーとで根間智子さん展示「MARGINALIA」

 

偶然の出会いが交差し、重なる場

 もう一方のネオンチューブでの表現は、今回が初めての試みだ。本来ネオンは看板などで主に文字を象ることで情報を伝える。これに対し根間さんは「ネオンで文字ではない、抽象的なものを表現することで、既存のものから脱するということも表現してみたかったんです」と話す。

 ロビーの頭上には、ピンクや青、オレンジ、緑といった色とりどりのネオンが複雑に入り乱れている。色の派手さもあって、ただ見てるだけでも視覚的なインパクトがあるが、これを何かの光の軌跡のように見立てると、そこには時間性が浮かび上がってくる。

「世界地図の上を飛び交う飛行機の航路や、もっと言うと太陽系の惑星の軌道もイメージしています」と根間さんは説明する。外の明るさや見る角度によって様相を変えるネオンは、何時どの角度から見るか、そこに何を見出すかということが鑑賞者の主観に委ねられていて、その意味でこれも色鮮やかな「余白」と言えるかもしれない。

「ロビーの掃除をしている方から感想を聞けたり、大阪に住んでいた人が電車の映像に反応してくれたり、お散歩中の園児たちが地下鉄の抽象的でスピード感のある風景を見て声を上げたり、作品を展示したことでそんな偶然の出会いに私も遭遇しています。色んな人たちが通り過ぎて交差するこの場所が、作品を通してそんなことが重層的に起こる面白い場になればいいなと思います」(根間さん)

インスタレーションのドローイングも展示されている

 関連イベントとして、2月25日午後5時半からは、根間さんによるギャラリーツアーがある。さらに、3月3日には詩人・批評家の倉石信乃さんを迎えたトークイベントが午後7時から行われる予定だ(無料、定員制)。また、2月22日からは展示室で根間さんがこれまでに手掛けた写真も展示されている。開館時間は午前11時~午後7時(第1・3月曜休館)。

■関連リンク
MARGINALIA 展示情報(なはーとWEBサイト)

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真栄城 潤一

投稿者記事一覧

1985年生まれ、那覇市出身。
元新聞記者、その前はバンドマン(ドラマー)。映画、音楽、文学、それらをひっくるめたアート、さらにそれらをひっくるめた文化を敬い畏れ、そして愛す。あらゆる分野のクリエイティブな人たちの活動や言葉を発信し、つながりを生み、沖縄の未来に貢献したい、と目論む。

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