ファンの青春も“大復活”させた「沖縄アクターズスクール大復活祭」ライブレポ

 
グランドフィナーレで大合唱する出演者たち(沖縄アクターズスクール大復活祭実行委員会)

 「最高に幸せでしたぁーー!!」。宜野湾コンベンションセンターのステージ上でたくさんの出演アーティストたちに囲まれる中、沖縄アクターズスクールの元チーフインストラクターでイベント企画者でもある牧野アンナさんがマイクを握り、最後の最後にそう叫んだ。その瞬間、朗らかな笑顔を保っていた表情がにわかに一変し、堰を切ったように涙が溢れ出して、周りの出演者たちに抱きしめられる。

 10月2日に沖縄コンベンションセンターで開催された「沖縄アクターズスクール大復活祭~本土復帰50周年記念」は、大盛況で幕を閉じた。
 B.B.WAVES三浦大知玉城千春(Kiroro)、知念里奈島袋寛子DA PUMP、そしてMAXという豪華出演陣が一堂に会したステージは、決して懐古的なものではなかった。幼少の時から叩き込まれた“アクターズ魂”を原動力にして、それぞれの道を走り続けてきたアーティストたちの歌い踊る喜びに満ちたパフォーマンスの数々。それは、見届けた多くのファンの青春を“大復活”させただけでなく、今現在とこれからの沖縄に向けた力強く盛大なエールとして鳴り響いた。

かつて歌った「未来」のステージ

オリジナル曲を熱唱するB.B.WAVESのメンバー(沖縄アクターズスクール大復活祭実行委員会)

 ステージの第1部はB.B.WAVESがメイン。メンバーが出演していた人気テレビ番組『Boom Boom』の映像が散りばめられたムービーが流れると、客席がにわかに熱をおびる。間髪入れずに当時の番組DJ・岩井証夫がビジョンに映し出され、お馴染みの小気味良い語りで50人余りのメンバーをステージに招き入れると、流れ出した1曲目は「So Freedom」。

 歌い出し第一声で会場には1990年代後半~2000年代前半の風が吹き抜けて、空気が一変した。周りを見渡すと、多くの人たちがマスク越しでも弾けんばかりの笑顔になっているのが分かる。2曲目からは数人編成のグループに分かれ、次々とダンスと歌を繰り出していく。3曲目では「B.B.WAVESといえばこの人!」という紹介に促されて登場した石川愛理が、ソロで伸びやかに歌唱し存在感を見せつけた。

 B.B. Boysのパートでは元DA PUMPのYUKINARIとSHINOBUも乱入し、会場を沸かせた。さらに90’sマナーのビートを存分に感じられるダンスチームのタイトな踊りを経て、ソングチームのアカペラからオリジナルソングメドレーへとなだれ込む。
 「Let’s Take Off/未来をつかめ/かけがえのない明日にするために/飛び立とうよ」という「Take Off」の歌詞を歌い上げるメンバーたちの晴れやかな表情が印象的で、彼女たちが今立っている場所が、かつて歌った「未来」の延長線上に確かにあると感じさせるパフォーマンスだった。

“絶句級”の圧倒的表現力・三浦大知

圧倒的なパフォーマンスで観客の度肝を抜いた三浦大知(沖縄アクターズスクール大復活祭実行委員会)

 会場が暗転しハネたビートが鳴り始めると、観客は総立ちになり一際大きな歓声が上がる。第2部のトップを飾ったのは三浦大知。踊りを共にするダンサーたちを凌駕するような激しい動きをしながら、全くブレることのないクリアな声で歌唱する彼の表現は、人ひとりが放っているとは思えないほどの分量のエネルギーを容赦なく客席に浴びせかける
 3曲目に披露した「飛行船」を目の当たりにした観客は、あまりにも圧倒され、息を飲む音が聞こえるくらいに静まる一瞬があった。この曲を終えたMCで三浦は「誰でもない自分になりたいというマインドを学んできた、アクターズの魂がつまっている曲です」と添えた。

 最後に「島の景色をたくさんつめ込んだ」というNHK朝ドラ『ちむどんどん』の主題歌「燦々」を披露。サビの開放感溢れるメロディが、会場の隅々まで届き渡る。割れんばかりの拍手の全てを受け止めるようにゆっくりと胸に手をあてて感謝を示し、ステージを後にした。

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