米メジャーリーグが使う測定器で選手を精密評価 「JWL」が沖縄で初開催

 
バッティングの打球速度を測る機械=23日、宜野湾市立多目的運動場(長嶺真輝撮影)

 米メジャーリーグなどが将来有望な選手を発掘する際に使用する先進的な測定器を使ったフィジカルテストが23日、宜野湾市立多目的運動場などで開かれた。県内から約70人の高校生と大学生が参加。状況認知の早さや投球の軌道など野球に特化した能力を測り、それぞれの課題や強みを数値化した。

 主催したのは、昨年末に沖縄で約1カ月間の長期トライアウト「ジャパンウィンターリーグ」(JWL)を初開催したジャパンリーグ(那覇市)。精密機器を使って選手の能力を網羅的に評価する催しは国内でも珍しいという。プロチームでも活用される機材を用いているため、鷲崎一誠代表は「プロ選手との数値比較もできるので、プロとの距離感も分かる。今後に生かしてほしい」と期待した。

反応速度も測定可 日本版“PDP”を全国で

光ったセンサーをタッチし、反応速度を測る選手

 今回測定したのは以下の5項目。

①短距離走のタイム

②反応速度(周囲4カ所でランダムに光るセンサーをタッチする)

③跳躍力(立った状態で垂直に数回ジャンプ)

④助走を付けた送球スピード

⑤投球の球速と軌道情報(投手)、打球速度(打者)

 使用した機材はイタリア製で、各能力を精密に測ることができる。メジャーリーグなど米国の野球3団体が有望な若手を評価するために定期的に開いている選手発掘プロジェクト「プロスペクト・ディベロップメント・パイプライン(PDP)」でも活用されているという。

球速や球の軌道を測定する投手

 機材を扱うエスアンドシー(京都市)が昨年末のジャパンウィンターリーグでも選手の能力を評価するために機材提供で協力したことから、今回の催しにつながった。

 企画・営業を担当する齋藤朋弥さんは「この測定会では目で見たものをいかに早く処理して動けるかといった反応速度も調べられるので、例えば足が速いだけでは難しい盗塁の適正なども測れます。まだ国内ではここまで網羅的なフィジカルテストは少ないですが、これから『日本版PDP』として全国各地で開いていきたいです」と意気込んだ。

「沖縄の選手に貢献」次は仙台でも開催予定

スタッフに測定方法を説明するジャパンリーグの鷲崎一誠代表

 ジャパンリーグの鷲崎代表も、選手たちが自身の能力を細かく把握することで「彼らが課題や強みをしっかりと把握し、正しい方向で努力ができるようにしたい」と意気込む。イベントは今回が初開催で、次は仙台市でも開く予定。沖縄では「JWLのノウハウを県内の選手に還元したい」と、毎年開催する方針だという。

 今後、選手たちのデータを蓄積していくことによるメリットもあると見る。「各能力とポジションごとの相関関係や、どういう選手がプロに行きやすいかなども分析できるようになるかもしれません。この時期は高校生の大会と重なっているので、選手たちがより参加しやすい時期も考慮しながら継続していきたいです」と先を見通した。

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長嶺 真輝

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ながみね・まき。沖縄拠点のスポーツライター、フリーランス記者。
2022年3月まで沖縄地元紙で10年間、新聞記者を経験。
Bリーグ琉球ゴールデンキングスや東京五輪を担当。金融や農林水産、市町村の地域話題も取材。

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