11管区海上保安本部長「極めて深刻な状況」 尖閣国有化10年で見解
- 2022/9/30
- 社会
第11管区海上保安本部の一條正浩本部長は28日、那覇市の那覇港湾合同庁舎で会見し、9月で尖閣諸島の国有化から10年を迎えたことを受け、周辺海域の情勢について「厳しさを増しており、極めて深刻な状況だと捉えている」との認識を示した。また、同日に中国公船3隻が同諸島周辺の領海に侵入し、今年21件目となったことも報告した。
同諸島では、2010年9月に違法操業していた中国漁船と、海上保安庁の巡視船が衝突。漁船の船長が逮捕されるなど日本と中国の対立が深まった。その後、当時の石原慎太郎都知事が、同諸島を都で所有する意向を示したことから、民主党政権の野田佳彦内閣が12年9月に国有化を決めた経緯がある。
一條本部長は、国有化後の具体的な影響や変化として▽中国公船の領海侵入が相次いでる▽接続水域でほぼ毎日確認される▽中国公船の船体が大型化している▽日本漁船に接近する事案も繰り返し発生しているーの4項目を挙げ、深刻な現状を説明した。
また、現場ではさまざまな事態発生を想定しているとして「いかなる事態にも対応できるよう、日々訓練を重ねることが重要」と述べ、領海警備に万全を期す考えを示した。その上で、対応については、「領土領海を断固として守り抜くという方針の下、関係機関と連携し、冷静かつ毅然(きぜん)とした対応を続ける」と語った。
7月19日に宮古島市の長山港で発生した20ミリ機関砲誤発射事故については、マニュアル類の順守と意思疎通を徹底し、チェックリストを活用して、二度と同じ事案が起きないよう取り組んでいることを改めて説明した。処分については、「現在、検討している」と述べた。
(記事・写真 宮古毎日新聞)