キムタツコラム⑬努力して何とかなるなら死ぬほど努力してやるぜ

 

 国内有数の進学校、灘中学校・高等学校(兵庫県)の元英語教員で「夢をかなえる英単語ユメタン」シリーズや「東大英語基礎力マスター」シリーズなど数多くの有名参考書を手掛けている作家の木村達哉(キムタツ)さん。 「NPOおきなわ学びのネットワーク」 を立ち上げて沖縄の生徒の学びを支援しているなど、沖縄に縁深く活動しているキムタツさんに、教育に限らずさまざまな角度からコラムを書いてもらいます!


 皆さん、こんにちは。木村達哉です。どうぞよろしくお願いします。今年の夏はなんだか暑かったですねぇ。7月は梅雨明けだったのである程度はしょうがないなぁと思っていたのですが、8月末の暑さは身に堪えました。残暑は彼岸ぐらいまで残りますので、気をつけてお過ごしください。

 さて、7月10日に琉球新報で地域感謝祭が開催されました。芸能人や知識人がさまざまなパフォーマンスやイベントを行い、たくさんの方々がお集まりになりました。かく言う僕も琉球新報から依頼を受けましてね。一階の広いスペースで「人生の授業」という演題で、講演というかトークショーというか、とにかくお話をさせていただきました。満席になりまして、本当に嬉しかったです。ご参加くださった皆さん、本当にありがとうございました。

 琉球新報さんからは「キムタツさんがこれまで人生で出会った荒波と、それをどういうふうに乗り越えてきたのかを話して、参加している人に希望と勇気を与えてほしい」と言われました。なんだか貧乏自慢、苦労自慢みたいな話になってしまうかもしれないなぁと思ったのですが、これまでの人生をたどってお話をさせていただきました。

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ぜん息で学校に行けない日々も

 僕は生まれついてのぜん息持ちでしてね。今でも吸入器は手放せません。発作に襲われることはかなり少なくなりましたが、特に中学や高校時代はひどく、けっこうな日数の欠席をしました。当時は良い吸入薬がなかったので、発作が出るとそれが収まるまで3日ほどかかりました。子どもが呼吸困難で、眠ることさえできないという状況が何日間も続くとなると、一番苦しいのは本人なのですが、その子どもを産んだ母親は居ても立っても居られない状態になるんですよね。仕事を休んで、母が背中をずっと、ひどいときには一晩中、さすってくれました。医者に「この子、二十歳まで生きられるかな」と言われました。僕は点滴の最中でした。今はさすがにそんなやぶ医者もいなくなっているんでしょうけれども、当時はひどいものでしたからね。

 体を強くしないといけないと思い、剣道をやったり野球をやったり、風呂から出るときは乾布摩擦をやったりしました。ときにはぜん息に効く神社なんてものに出かけていったりしたものです。ぜん息が楽になったのは、良い吸入薬が出てからですから、僕が社会人になる直前のことだったと思います。その頃は就職すらできないものとあきらめていましたので、薬の登場には大喜びしました。

20代で借金6000万

 父はなかなか仕事が手につかない人でしてね。他人の下で働けないものだから、自分で会社を立ち上げたんです。でも、経営者の方々ならおわかりだと思うのですが、勤め人をやっているときよりも頭を下げ続けなければなりません。会社を潰してしまったら、社員どころかその家族まで路頭に迷わせることになります。遊んでいられません。そういう覚悟が父にあったのかどうか、ずいぶん前に亡くなった彼に聞くことはできません。

 僕が就職した後は、毎月彼にお金を貸していましてね。給料はそれほど多くなかったのですが、僕はあまりお金を使わないタイプの人間ですので、ちょっとずつ貯まっていくんですよ。50万貯金ができたなと思ったら、それを父から貸してほしいと頼まれて・・・という日々が続きました。また、別の借金の連帯保証人にもなっていました。今から考えれば、僕も知識がなく、簡単に小切手の裏書きをしてしまっていたのがまずかったのです。若い人たちは、なにがあっても絶対に小切手の裏に名前を書いてはいけません。

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