キムタツコラム⑤他人の意見なんて超絶どうでもいい

 

 国内有数の進学校、灘中学校・高等学校(兵庫県)の元英語教員で「夢をかなえる英単語ユメタン」シリーズや「東大英語基礎力マスター」シリーズなど数多くの有名参考書を手掛けている作家の木村達哉さん。 「NPOおきなわ学びのネットワーク」 を立ち上げて沖縄の生徒の学びを支援しているなど、沖縄に縁深く活動している木村さんに、教育に限らずさまざまな角度からコラムを書いてもらいます。

波乱万丈、一時期は借金6000万

 皆さん、こんにちは。沖縄の新型コロナウイルスの新規感染者数が減ってきましたね。そうは言ってもまだ少なくはないですので、お気をつけください。

 さて、昨年末に那覇市教育委員会主催の講演会が牧志駅前ほしぞら公民館で行われ、登壇しました。担当者さんによると、それまでにないほどたくさんの方々がご参加くださったそうです。コロナ禍でもあり、ほとんどがオンラインでの受講でしたが、会場に足を運んでくださった方々も多数いらっしゃいました。深く感謝申し上げます。演題が「幸せに生きるために」となっていましたので、僕なりの幸福論についてお話をさせていただきました。

 灘校の教員をしていたなんていうと、さぞかし順風満帆な人生だったんだろうとお思いになるかもしれませんね。でも、ここまでは山あり谷底ありの人生でした。

 生まれつき体が小さくて弱く、ぜん息で学校を休みがちでした。父からはよく「またぜん息か!体調管理をしているのか!」と野太い声で叱責されていたこともあり、いつも人目を気にしながら生きていました。中学生の頃には医師に「20歳まで生きられるかな」と言われたときは、残りの人生の短さを考えて涙が止まりませんでした。

 また、僕が30歳頃のことでしょうか、父の経営する小さい会社が倒産し、連帯保証人になっていた僕は約6000万円の借金を背負うことになりました。金融機関、特に街金と呼ばれるところ(〇〇金融という看板を掲げているところ)を何十軒も、頭を下げて謝りながらまわりました。なかには僕をスカウトしてくださった怖そうな面構えの社長さん(と社員さんは呼んでいたが、どう見ても組長さん)もいらっしゃいました。「教師なんか辞めてこっちの世界に来たら借金を減額してやるぞ」と言われたときは、数秒間だけ迷ったものです。

自分だけの、自分の生きたい人生を

 幸せになるための第1要件は「他人の意見なんて超絶どうでもいい」です。樋口耕太郎さんの『沖縄から貧困がなくならない本当の理由』を読んで、沖縄で年の1/3ほど生活している僕もいろいろ考えこんでしまいました。周囲の意見に気を遣いながら生きる沖縄の人たちについて書かれていました。僕の周囲にいるウチナーンチュの方々はそれなりに自分の意見を言うように思いますが、それでも断れない、意見がはっきり言えないというタイプの人、つまり「気の優しい人」が多いように思います。しかし、僕たちが生きているこの人生は、誰のものでもないまさに自分だけの人生なのです。スティーブ・ジョブズがスタンフォード大学の卒業式で学生たちに述べたように、僕たちの時間は限られたものなのです。他人の意見に左右され、結局はやりたいこと、言いたいこと、食べたいこと、行きたいことが制限されるべきではありません。

 そりゃ他人との良好な関係を築く中で、自分の意見だけを押し通すことはできません。しかしながら、親がなんと言おうと親戚がなんと言おうと、自分の人生を生きることが大事ではないでしょうか。昨年、僕が灘校を退職することをブログで公表したとき、多くの方々から「もったいない」と言われました。が、僕のなかでは灘校も東大もまったくブランドではなく、むしろ自分が仮に給与をもらえなくなって生活が困窮したとしても、本や活字とともに生きたいと、自分の生きたい人生を生きたいと、強く思いました。もし事前に誰かに相談していたら、退職を考え直したほうがいいかもしれないねと言う人はいらっしゃるだろうなと思い、誰にも相談せずに決めました。

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