「農業×観光」新たな6次産業の形 Sunset Farm Okinawa
- 2020/9/9
- 経済
農業と観光を掛け合わせる新しいスタイルで6次産業に取り組み続ける経営者がいる。読谷村で「Sunset Farm Okinawa」を経営する池原公平さんだ。
人工的に光を当てて開花時期を遅らせる「電照菊」の栽培と同時に、菊やヒマワリを照らす電球約1000球の光の美しさで魅了するイルミネーション、その名も「キクミネーション」を展開する。特筆すべきは「インスタグラムのフォロワーだけが入場できる空間であること」。お客さんとファーム側が一つのコミュニティを作り出す特別感を演出。夜空を照らす幻想的なライトは、観光のナイトコンテンツとして、沖縄の新たな6次産業の未来をも灯す。
農業にとっつきやすさを
6次産業化とは、農業や漁業の生産者が加工や販売、流通などにも関わり製品の付加価値を高めることをいう。
Sunset Farm Okinawaの、生産部門とは分かれた観光農園。コロナ禍の中でも県内客からの根強い人気が功を奏した。ロマンチックな景色に没入し、写真を撮っていく客が後を絶たない。本来の電照菊農家としても、県内での作付面積は1位を誇るという。ここから年間400万本もの菊が出荷される。
キクミネーションでは現在、菊が約25万本、ヒマワリが約5万本咲き誇っている。「夜のヒマワリ畑って、世界中探してもここにしかないらしいですよ」と明るく優しい語り口で話すのは、ファームを運営する農業生産法人株式会社IKEHARAの池原公平代表だ。種は、ヒマワリでの町おこしで名を馳せる北海道北竜町が送ってきてくれた。活動に賛同してくれたという。
もともと東京で一流スタイリストのアシスタントをしていた池原さん。理容師やアパレル業界で活躍した経歴のある社員らと一緒になってファームを運営する。時にはファームの顔としてインスタグラムにも積極的に登場、メンバーの気さくでオシャレで洗練された感じがSunset Farm Okinawaの魅力でもある。
この「気さくでオシャレで洗練された感じ」は、本人たちが狙って仕掛けたものではなかった。
「作業着として好きなデニムを着ていただけだったんですよ。ほら、デニムってもともと作業着じゃないですか。単純に、着たい物を着ていました」
すると「オシャレな農家がいる」と注目された。マスコミの取材も入るようになった。
「オシャレさみたいなもので目立とうとは思っていなかったんですけど、でも、農業に対して若い人がとっつきやすいようにとは思っていました」
逆に言えば、それほど農業に「とっつきやすさ」が求められていることを示した形にもなっていた。