【沖縄県知事選】「基地跡地を平和外交の場に」佐喜眞淳氏インタビュー

 

-取り組もうとしている「健康長寿世界一復活プロジェクト」の具体的な内容を教えてください。

「これはもう、キャンペーンを張って取り組まないといけないと思います。沖縄の働き世代は成人病やその予備軍の方が全国でも突出して多いです。医療費の負担にもつながっています。(健康長寿県復活に向けた)効果的なキャンペーンで意識を高めてもらう必要があります。それを踏まえて、どうやったら健康になれるかということを、市町村と連携しながら積極的に進めないといけません。まずは体を動かしてもらわないといけないですよね。県を挙げて健康長寿に取り組むという姿勢を見せ、計画を立てていきます。食育や地産地消も含めて中長期的に取り組んでいきたいです。健康長寿だった時の沖縄の食文化を今一度見直して、県がリーダーシップを取って市町村や民間と進めていくことが重要だと思います」

普天間に終止符「新たなステージに」

-2030年までの米軍普天間飛行場の返還を掲げています。その手立てとして挙げた、訓練自体の移転や名護市辺野古の埋め立て工期短縮について、どのように現実的なアプローチを仕掛けていきますか。

「普天間返還については、1996年に日米両政府が返還に合意したところからスタートした事案です。当時は5年ないし7年以内での返還を目指していました。それがもう今や26年経っています。私としてはもうこの問題にピリオドを打つということが、新たなステージに行くことだと思います。今辺野古で埋め立てが終わっている一部エリアに、例えば普天間所属のオスプレイを先に移駐させるというような案を、米軍や日米両政府にも示しながら交渉していきます。案を出して初めて(交渉の)テーブルに就くことができると思います」

「仲井眞県政時に私も携わったKC130空中給油機の岩国への先行移駐は、ある一定の評価があると思います。ただ、当初の目的が何だったのかというと、普天間飛行場の返還で、それが県民の一番の願いでした。辺野古への移設問題というのはたしかに県民世論がさまざまですが、今進められている埋め立ての状況は(翁長県政となった)8年前とは違いますし、この現実を無視している今の県政のあり方っていうのは、むしろ普天間の返還を遅らせています。私が知事になったら、間違いなく基地問題を終わらせます」

-基地返還後の跡地利用についての構想を聞かせてください。

「新たな可能性が広がるような、今までの跡地利用とは違ったキャンパスを次の世代に渡したいです。安全保障面で負担を強いられてきた沖縄県民にとっては、『返還されたからそれで終わり』ということではありません。国家的なプロジェクトとして、沖縄の地理的優位性を生かして、アジアの平和外交の一つのポイントとして跡地利用するということも、私は重要だと思います。国連機関などの施設誘致も視野に入れて、沖縄から国に対してどんどんアプローチできるようにすべきです。国際的な街になって世界中から人が集まることで、平和外交につなげていけると考えています」

「(日本復帰した)50年前の沖縄は『本土に追いつけ追い越せ』で全勢力を傾けていた部分があったと思います。沖縄は今、港湾、道路、各島々の空港整備などだいぶ発展しました。跡地利用をいかに進めていくかを考えた時に、50年前の価値観ではなくて、今の沖縄の地政学的な優位性をいかに生かすかが重要です。当時は沖縄を『地政学的に優位性がある』なんて誰も言いませんでした。みんな東京を向いていたので『沖縄は東京から遠いから不利だ』という考え方だったんです。でも今は『沖縄はアジアに近いから有利だ』ですよね。沖縄がアジアの架け橋になった未来で、今の子どもたちが大人になった時に、将来もっと斬新な考え方を生み出してくれるはずだと期待しています」

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長濱 良起

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フリーランス記者。
元琉球新報記者。教育行政、市町村行政、基地問題の現場などを取材する。
琉球大学マスコミ学コース卒業後、県内各企業のスポンサードで世界30カ国を約2年かけて巡る。
2018年、北京・中央民族大学に語学留学。
1986年、沖縄県浦添市出身。著書に「沖縄人世界一周!絆をつなぐ旅!」(編集工房東洋企画)

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