【沖縄県知事選】「基地跡地を平和外交の場に」佐喜眞淳氏インタビュー

 

 9月11日投開票(8月25日告示)の沖縄県知事選挙。長引くコロナ禍で打撃を受けた沖縄経済の回復、子どもたちを取り巻く環境、米軍普天間飛行場の返還実現に向けた手法など、さまざまな課題を抱える県のリーダーを決することとなる。

 HUB沖縄は出馬を予定している3氏にロングインタビューを行う。本記事では前宜野湾市長の佐喜眞淳氏=自民、公明推薦=に、政策や思いなどを聞く。

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「官民一体で観光産業守る」

-改めて、今回の出馬を決めた理由をお聞かせください。

「4年前の前回選に私は宜野湾市長という立場で『対立よりは対話』『県民の暮らし最優先』というキャッチフレーズを前面に出して選挙戦を戦いましたが、県政奪還ができず、掲げた公約を実現できませんでした。そういった背景の中で、県民の皆さんの声を聞いて回ったこの4年間には、沖縄にとってさまざまな災難がありました。首里城火災、軽石被害、新型コロナウイルス、ウクライナ情勢での物価高などが県民の生活に極めて影響を与えています。現県政が政府との対立を常に繰り返している状況では、県民の暮らしや命を守ることが期待できません。もう一度県民のために頑張らなくてはいけないという強い決意を持ったのが出馬の理由です」

-目玉政策の1つとして掲げた「観光関連産業を中心とした1000億円規模支援」の具体的な内容と財源をお聞かせ下さい。

「沖縄のリーディング産業である観光関連産業を守るという姿勢が、今の県政にはほとんどありません。県庁内に観光関連産業の方々の意見を集約するような担当組織を配置し、官民一体となってリーディング産業を育成して守ります。知事も副知事も会議に参加して、様々な意見交換をしながら、観光関連産業に配慮できるような仕組みを作っていきたいと思います。そのような信頼関係をまず構築して、それぞれの業界の特性に応じた補助制度を創設することが必要です。この2年間で1兆円規模の観光収入が減ったことからも、敏感になって執り行わなければならないと思います。(財源としては)このような沖縄の特性に応じて、国の地方創生臨時交付金の特別枠創設を求めていきたいです。沖縄の総生産に占める観光関連産業の割合は、約26%から30%近くにもなっています。大幅な増額を求めていきたいと思います」

-「子ども特区」の導入で給食費、保育費、子ども医療費の無料化を掲げています。どのように実現させますか。

「沖縄は出生率が全国一高く、可能性がある県です。そのような沖縄の特殊事情を鑑みて、『国がしっかりと配慮や支援を行うべきである』ということを知事として政治的にアプローチしてこども特区の予算を確保していきます。場合によっては、沖縄関連予算や一括交付金の枠組みからでもしっかりと財源が裏付けできるよう、政府に対しても働きかけます。子ども特区を国としてやるべきであるということをしっかりと訴えて、その制度化をしていきたいです」

所得アップは全国平均を視野に

-公約の中で「所得の大幅アップ」を謳っています。具体的な数値目標はありますか。

「具体的な目標値ではありませんが、常に全国平均は視野に入れなければならないと考えています。官民一体となって連携して、脱炭素、エコ、健康医療などの分野を含めて新産業を創出することを考えています。非正規雇用から正規雇用へと、雇用の質を向上させていきながら、貧困問題にも取り組んでいきます。例えば、シングルマザーや低所得者のための支援を手厚くしながら、全体的にボトムアップさせることで、所得の向上だけでなく生活のゆとりにもつなげていきます。そのような取り組みをまず真っ先にやっていきたいです」

「どの企業も人材確保に四苦八苦している面があります。募集してもなかなか応募が来ないという現状があるので、雇用のミスマッチを是正して、安定収入や雇用の確保につなげていきます。正規雇用の求人倍率を上げていくことで、自ずと県民所得も向上していくかと思います」

-公約にある「世界的な名門大学誘致」について、どのような内容を想定していますか。

「今、国が5年計画で海外有名大学の誘致を進めています。それに沖縄が手を挙げて取り組んでいきます。人材に対する投資を考えた時、海外大学のノウハウやスキルなどを起業へと結びつけていくことで、沖縄の可能性が膨らんでいくと考えています。知事になったら政府といち早く話し合いを持ち、積極的にアプローチしていきたいです。アメリカ軍が駐留している歴史的背景から、沖縄はアメリカとの関係性が近いこともありますし、アジアの安定を考えた時に勉学を通して国際的に人が行き来するということはとても魅力的でしょう。一流の学術機関が、海を渡らずにしてここにある、というのは、沖縄の人にとってもスキルアップにつながると思います」

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