国内唯一の障がい者アートデジタル配信、県出身女性ら立ち上げ

 

企業のSDGs実践の場としても

ParaCanvasが配信しているアートの一例(同ウェブサイトより)

 ParaCanvasは、利用することで気軽にSDGsを実践できるという一面もある。SDGsのゴールのうち「8.働きがいも経済成長も」「9.産業と技術革新の基盤をつくろう」「10.人や国の不平等をなくそう」の3つに当てはまっており、「SDGsに取り組みたくても方法が分からない」という企業が気軽に取り組むことができることも、同社が訴求するポイントの一つだ。

 実際にParaCanvas上でも2分半に1回のペースで、これらの絵画が障がい者アート作品であることが、SDGsのロゴと一緒に表示され、よりよい社会づくりをしていこうという意識も含めて発信することができる。

「たくさんの人が報われてくれたら」

 「障がい者アートを社会に知ってもらう経路としては何本あっても良いです。その中の一つとしてParaCanvasの可能性は大きいです」と話すのは、障がい者アート協会の熊本豊敏代表理事だ。同協会は、障がい者のアート作品を、企業などのノベルティやグッズにデザインとして採用してもらうことで、著作権利用料として作者に還元する活動などを行っている。「(原画を別のグッズなどに印刷し直すような)作品の2次利用ではなく、作品をそのまま見せることができるのは、作者にとっての喜びもひとしおなのではないでしょうか」

障がい者アート協会の熊本豊敏代表理事(Zoom画面より)

 熊本さんは「障がい者アートを的確に発信することができれば、一気に世の中に広められるだろうなと思っていました。その部分でウィンドベルさんが一生懸命取り組んでくださっているので、これからさらに認知度が上がれば」と期待しつつ、アーティスト一人一人については「協会としてちゃんと事業に取り組んでいくことで、今は世に出ていなくても、たくさんの人が報われてくれたらという思いです」と心を寄せる。

潮平さん「アートを通して障がい者を近くに」

 内閣府の令和3年版障がい者白書によると、日本国内の障がい者は国民の約7.6%に当たるとされ、誰にとっても身近にいると言える。その一方で、就業機会の不平等や、理解不足が引き起こす偏見・差別など、まだまだ障がい者を取り巻く課題は多い。

 潮平さんは「ParaCanvasを小学校とかにもぜひ置いてほしいと思います。アートを通して障がい者を近くに感じてもらいながら、子どもたちが大人になった時には分け隔てなく接するようになってほしいです」と語る。

 絵を通して「これ描いた人スゴイ」「どんな人が描いたんだろう」と思いを巡らせることで、お互いがお互いを認め、尊敬し合える社会を作り出す。ParaCanvasが映し出した先にあるのは、そういった未来像だ。

■関連リンク
☆ParaCanvas 障がい者アート配信サービス【公式】

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長濱 良起

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フリーランス記者。
元琉球新報記者。教育行政、市町村行政、基地問題の現場などを取材する。
琉球大学マスコミ学コース卒業後、県内各企業のスポンサードで世界30カ国を約2年かけて巡る。
2018年、北京・中央民族大学に語学留学。
1986年、沖縄県浦添市出身。著書に「沖縄人世界一周!絆をつなぐ旅!」(編集工房東洋企画)

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