ワーケーションは沖縄観光回復の救世主になるか 沖縄総合事務局が調査

 

自治体・観光協会の「動き出しが鈍い」

 受入れ側の県内自治体・観光協会・観光地域づくり法人(DMO)へのアンケートでは、回答を得た17のうち半数以上が今後ワーケーションに関する取組について「予定はない」「未定」と答えた。

自治体のワーケーションへの取り組みについての現状

 ワーケーションに取り組むための懸念事項としてWi-Fiや個室などの施設・設備や交通手段などの不足、さらには食事のための施設や観光コンテンツの乏しさを挙げており、受け入れ環境を不十分としている回答者も見られた。また、ワーケーションそのものの認知度が低く、地域としてその市場に参画するメリットを見出だせないと感じているという回答もあった。

 一方、宿泊施設はというと、回答した40施設のうち27施設がワーケーションプランや長期滞在プランの商品を販売しており、9割以上の37施設がWi-Fiを設置していた。また、そのうち1~2割の施設が仕事用スペースの併設、プロジェクター貸出、オンライン会議用個室を備えていると回答した。

宿泊施設取り組み内容

 受入れ側の調査結果を受けた総括で総合事務局は、宿泊施設やテレワーク施設でワーケーションやテレワークについて何らかの取り組みが積極的に行われていたが、自治体・観光協会は「動き出しが鈍く感じられる」と指摘。その上で、自治体などがワーケーション利用者が求める環境や設備についての認識が「曖昧であり(取り組みを)実行に移せていない」とも述べている。

 ただ、今後ワーケーションを地域と事業者で共にメリットにつなげていくために「地域との連携・交流」が重要という認識は、いずれの立場でも共通していた。

多様な滞在の提案が必要不可欠

 以上の結果を踏まえた上で、総合事務局は関心度の高さやコロナ禍におけるテレワークの普及などを理由に「今後の見通しとしてはワーケーションの利用増加が十分に期待できると考えられる」と述べている。

 ただし、上述してきたように解決すべき課題は多く、その筆頭が今回の調査で浮き彫りとなった「設備やプランの整備」だった。

 施設側については既にWi-Fiを設置している宿泊施設やテレワーク施設であっても、ワーケーションでの利用を前提とした個室利用や利用時間の制限などについては「更に改善が必要」と指摘した上で「ワーケーション実施者にメリットの多いプランを造成してほしい」と提案している。

 実施側の課題としては、ワーケーションの認知度が上がっている一方で企業での制度化ができていない点、情報セキュリティ保護などへの懸念から推奨していない点などを挙げ、今後業務のオンライン化が進んでいくことで「企業側の意識にも変化があることを期待する」とした。

 また、現在沖縄県が想定している「ワーケーション実施者」については、普段の職場を離れて業務ができる、金銭的余裕がある、社内・周辺の理解があるといった条件を満たした「ごく少数に限られている」とも指摘。これから沖縄を「ワーケーション立県」にしていくためには「確かな地盤作りと多様な滞在の提案が必要不可欠」と提言し、コロナ禍で打撃を受けた沖縄観光業界回復のための1つの要素として期待を込めた。

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真栄城 潤一

投稿者記事一覧

1985年生まれ、那覇市出身。
元新聞記者、その前はバンドマン(ドラマー)。映画、音楽、文学、それらをひっくるめたアート、さらにそれらをひっくるめた文化を敬い畏れ、そして愛す。あらゆる分野のクリエイティブな人たちの活動や言葉を発信し、つながりを生み、沖縄の未来に貢献したい、と目論む。

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