沖縄県景況「持ち直しの動き」 日銀那覇8カ月ぶり上方修正
- 2021/12/11
- 経済
日本銀行那覇支店(飯島浩太支店長)はこのほど、2021年12月の沖縄県内の金融経済概況(主要指数は10月)を発表した。同支店は、県内景気について「引き続き厳しい状況にあるが、持ち直しの動きがみられる」として8カ月ぶりに上方修正したほか、項目別の観光と個人消費でも判断を引き上げた。
飯島支店長は、景気判断を引き上げた理由として「10月に緊急事態宣言が解除された後、各種の行動制限も緩和された。新型コロナの新規感染者数が抑制された状況が続いており、観光や外食などのサービス商品では、持ち直しの動きがみられている」と説明した。
先行きについては、今後も感染症の影響が和らいでいけば、持ち直しの動きが観光や外食でより明確になっていくとの期待感を示しながらも、「今後の感染症動向次第という面がある。不確実性が大きく、動向を注視していきたい」との認識を示した。
項目別では、10月の主要ホテル客室稼働率が新型コロナウイルスの感染拡大前となる2019年と比べマイナス幅が縮小したことや、11月の速報値も51.2%に上昇して昨年同月以来の水準となったことから、観光で「持ち直しの動きがみられる」と判断を引き上げた。
県内主要ホテルの客室稼働率は、2019年は70~80%で推移したものの、新型コロナウイルスの感染が拡大した20年3月から急落。GoToトラベル事業の対象に東京が追加された後の昨年11月は約50%に回復したが、その後は感染再拡大と同事業の一斉停止などで20~30%と低迷していた。
飯島支店長は、直近2カ月のホテル稼働率上昇について「特定の地域が押し上げているのではなく、全体的に稼働率は高まってきている」との認識を示した。その上で、「(県内旅行や那覇市の宿泊施設を支援する) 『おきなわ彩発見キャンペーン』『那覇とまーるクーポン』が観光需要の押し上げに寄与しているとの声も聞いている」と語った。
同支店は、個人消費については、感染状況が落ち着きをみせる中で人出が回復したほか、9月まで続いていた大型商業施設に対する土日祝日の休業要請も解除され、百貨店・スーパー販売額(全店舗)が前年比5.3%増となったことなどを踏まえて、「感染症の影響による下押し圧力が続いているものの、足もとでは持ち直しの動きがみられる」と判断した。
(記事・写真 宮古毎日新聞)