FC琉球が11試合ぶりに勝利 開幕戦以来の無失点で今季2勝目

 
アウェー戦に臨むFC琉球のメンバー=8日、熊本県のえがお健康スタジアム(FC琉球提供)

 サッカー明治安田生命J2のFC琉球が11試合ぶりに白星を挙げた。

 8日に熊本県のえがお健康スタジアムで2連勝中のロアッソ熊本と対戦し、2ー0(前半0ー0、後半2ー0)で快勝した。白星は3月12日のレノファ山口FCとのアウェー戦以来。通算成績は2勝9敗4分け。勝ち点10で依然として最下位の22位ではあるが、開幕戦以来となる無失点ゲームとなり、上昇に向けてこれ以上ない形での勝利となった。

草野が4戦連発 上原慎也の豪快バイシクルも

 前半はサイドを中心に攻撃を仕掛けてくる相手に主導権を握られたが、ボールを持った選手に対してプレッシャーを掛け続けた琉球。GK田口潤人の好セーブもあり、スコアレスで折り返した。

 後半23分、浮かせたパスを受けたMF武沢一翔がペナルティエリア内右の深い位置から倒れ込みながら右足でクロスを上げ、走り込んだFW草野侑己が右足で直接合わせてネットを揺らした。草野は4戦連続となるゴールとなった。

 流れを掴んだ琉球は継続して高い位置からプレッシャーを掛け続ける。すると3分後の後半26分に再び好機が訪れる。DF大本祐槻が右サイドから左足でゴールへ向かうクロスを上げると、草野が頭で競り、こぼれ球に反応した途中出場のFW上原慎也が右足の豪快なバイシクルシュートでゴール右側に流し込んだ。

 その後は押し込まれる時間が続いたが、最後まで高い集中力でゴールを割らせず、そのまま勝ち切った。

 大きな勝ち点3を獲得する原動力となった草野は「球際などで相手を気持ちで上回ることが大事だと思っていた。今日は一人一人の気持ちが出ていた」と勝因を語った。「ゴールが取れても勝てないと嬉しくない。今日は勝利につながって良かったです」と頬を緩めた。

流れに乗ってホーム戦初勝利へ

 これまでの試合では前半終了間際の失点が目立っていた琉球。喜名哲裕監督は「前半は相手の時間帯が続く中でもハードワークを止めず、しっかりボールホルダーに対してのプレスをずっと連動してできたことが良かったと思います」と振り返った。

チームスタッフと拳を合わせる喜名哲裕監督(中央)(FC琉球提供)

 「ボールを保持する中でしっかり全員がパスを出した後に受けに行ったり、サポートしたり、もちろんミスもありましたがトライしたことが後半の流れをつくり出すことができたと思います」とも語り、持ち味であるボール回しの連携向上も実感しているようだ。

 現在、総失点数はリーグ最多。守備の改善が課題となっていたため、指揮官は「ピッチに出たと時にやるべきことを明確にやってくたれたことが2得点を生み出しましたし、何より開幕戦以来のクリーンシート(無失点試合の意味)を成し遂げたことはチームにとって本当に成長した証だと思います」と高く評価した。

 次戦は5月14日にホームのタピック県総ひやごんスタジアムで残留圏内を維持する19位の栃木SCと対戦する。長いトンネルを抜けた琉球だが、今季はいまだにホームでの勝利がない。ファンへのコメントを求められた草野は「なかなか勝てない中でたくさんの応援、サポートをしていただいているので、次戦でホーム初勝利を届けられるように頑張っていきたい」と力を込めた。


長嶺 真輝

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ながみね・まき。沖縄拠点のスポーツライター、フリーランス記者。
2022年3月まで沖縄地元紙で10年間、新聞記者を経験。
Bリーグ琉球ゴールデンキングスや東京五輪を担当。金融や農林水産、市町村の地域話題も取材。

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