内戦続くミャンマーは国際社会から見捨てられたのか 沖縄から立てる三本指

 

 それでも嬉しい動きはあった。昨年6月に糸満市議会が首相らに宛てて、ミャンマーでの軍事クーデターを非難し民主体制を求める意見書を全会一致で可決したことだ。3月21日に那覇市内での反戦イベントでソウさんは「頑張れ、チバリヨ―と現地の人々に応援の気持ちを届けないといけません。そんな声が届かなければかなり落ち込んでしまいます」とスピーチしていた。沖縄から寄り添う気持ちがあるだけでもミャンマー市民の力に変わる。

「中立」を叫ぶことの無責任さ

 軍事クーデターで政権を掌握した現行のミャンマー政府に対し、日本政府は強い姿勢で臨んでいないという批判がある。ソウさんはそんな“中立的”な日本政府に疑問を呈し「中立は逃げ道と同じです」と強調する。「どっちにも転べるようにして、いつでも言い訳ができます。そもそも軍事政権という考え方自体が、自由や人権を重んじる日本にそぐわないと思います」と、民主回復運動への支援を訴える。

 「そもそも、ミャンマー市民は何も悪いことをしていないのに一方的に殺されています。そんな中で“中立”の人は市民に対して『国軍の要求も一部飲め』と言えるんですか?ヤクザの世界ですよ」

 国際社会が能動的に世界平和を希求することの大切さに触れながらソウさんは「昨年はミャンマー、今年はロシア。世界は戦争を回避できませんでした。何のために国連があるのでしょうか。この調子では、来年は台湾に何も起こらないと誰が言い切れるでしょうか」と、世界を巻き込む戦火の拡大を心配している。

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