舞台芸術で復帰を知り・考える 沖縄復帰50年現代演劇集 in なはーと

 

「沖縄ってアメリカだったんですね」

 上演作品については、作品を手掛けた3人がそれぞれの演出や制作について紹介した。

 5月4、5日上演の劇団ビーチロックの『オキナワ・シンデレラ・ブルース』は復帰1年後の沖縄で、戦後から芝居小屋、映画館、Aサインバー、音楽喫茶と形を変えてきた店を舞台の中心に、とある少女のシンデレラストーリーを描く。

 作・演出を手掛ける新井さんは「沖縄の歴史に詳しくない人でも、それを知る入り口として楽しんでもらえるエンタテインメントになっていると思います」と強調した。

自作の上演作品を紹介する新井さん

 7、8日に上演される劇団O.Z.E『72’ライダー』の舞台はバイク屋。50歳で“復帰っ子”の店主と友人たちとの等身大の会話と、復帰直後にバイクに乗って国会議事堂の鉄柵に衝突して死亡した沖縄県人の事件とをリンクさせてこの50年を浮かび上がらせる。

 作・演出の真栄平さんは「できるだけ笑える内容にしたいと考えています。ラストシーンではバイクのマフラーの音に全てを込めたので、咆哮を体感してほしい」と意気込みを見せた。

「マフラーの音に全てを込めました」と作品の説明をする真栄平さん

 復帰前夜、とある新聞社の部屋に集まった立場の違う9人の座談会の様子を描き出した劇艶おとな団の『9人の迷える沖縄人』は13、14日上演。当山さんが演出を手掛け、作は座付き作家の安和学治さんと国吉誠一郎さんだ。

「県外の演劇人から『沖縄戦を扱わないのか』という声がけっこうあったんですが、経験していない僕たちが扱うのは時期尚早だと思っていたんですが、復帰なら経験している劇団員もいます」と当山さん。

 県外で同作を上演した際に「沖縄ってアメリカだったんですね」という感想をもらったことも少なくないというエピソードも混じえつつ「忘れられている現状」を危惧する。「復帰を忘れてほしくない、忘れてはいけないという思いで上演を続けています

「みらいチケット」で若者支援も

 質疑応答では、それぞれの作品での復帰50年というタイミングでの作品の変更点について、真栄平さんが「スベった部分は全部カットします」と話して会場の笑を誘った。同時に、若い世代が復帰について知らない現状を踏まえて「いかにキャッチーに作ることができるかも意識しています」と付け加えた。

 当山さんが最後に「同じ時代に沖縄で活動している劇団が集まって上演すると、力が生まれるし伝わると思って臨みます」と、今回の「現代演劇集」という企画に込めた思いを語った。

 今回の上演は複数の角度から復帰について知り、考えるために全3作品全ての観劇を推奨しており、3公演のチケットをセットで割引購入できる「観劇パスポート」が設けられている。

 さらに、1口購入すると23歳以下の若者を2人招待できる「みらいチケット(若者応援チケット)」も導入。演劇の次世代を担う若者や学生の支援にも取り組む。一般チケットの販売は4月1日、観劇パスポートとみらいチケットは今月1日から受付がスタートしている。

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真栄城 潤一

投稿者記事一覧

1985年生まれ、那覇市出身。
元新聞記者、その前はバンドマン(ドラマー)。映画、音楽、文学、それらをひっくるめたアート、さらにそれらをひっくるめた文化を敬い畏れ、そして愛す。あらゆる分野のクリエイティブな人たちの活動や言葉を発信し、つながりを生み、沖縄の未来に貢献したい、と目論む。

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