見どころしかない!世界自然遺産の息吹感じる「やんばるアートフェス」16日まで

 

アート空間を五感で楽しむ

 小学校校舎の教室はぞれぞれが展示室になっており、教室の入り口にあるクラスを表示する表札にアーティスト名が記されているのも楽しい。

 かつての教室には大人には小さすぎる机や低すぎる椅子があって、それをそのまま有効活用している展示もある。図書館には空の本棚があり、理科室や隣接する薬品などを保管していた備品室には小学校の頃を思い出すような独特のにおいも漂う。

 たくさんのアーティストのさまざまな作品を目で耳で堪能しながら、鼻にはいつかの懐かしさをくすぐる刺激が訪れる。文字通り、五感による体感を味わえるアート空間となっている。

のんさんの作品『ちょうちょとガジュマル』

 別会場のオクマプライベートビーチ&リゾート敷地内には、ガジュマルをリボンで飾り付けたのんさんのインスタレーション作品『ちょうちょとガジュマル』が展示されている。長い時を刻んできたガジュマルを這うように彩る赤いリボンは、力強く脈動する鮮やかな血管のようだ。

 のんさんは自身のInstagramで、作品について「やんばるの日差しに赤が映える。自分でも最高の出来だと思う!自然の力強さと共鳴した良い作品になりました」とコメントしている。

 同じくオクマには、ジミー大西さんの色彩豊かなイラストがペイントされた“ド派手”なアートラッピングカーも展示されている。

ジミー大西さんのアートラッピングカー『輪』

やんばるの息吹感じるクラフトも

 一方、クラフト部門では「やんばるを嗜む」をテーマとして、森を模したような教室に木工、染色、リース、焼物、アクセサリーなど、やんばるの息吹を感じさせる商品が多数並んでいる。

やんばるの空気を感じさせる商品が並ぶクラフト部門

 コロナ禍の終わりが見えない中で、アートはともすれば“不要不急”とされてしまいがちだけれど、実はアートこそが生活や心に彩りと豊かさをもたらすことができる1つの手段でもある。

 自分が見ている世界の枠から飛び出し、常識を揺さぶられるような作品を味わえば、これまでとは違ったものの見方ができるかもしれないし、明日の世界の輝きが増しているかもしれない。

伊藤彩さんの作品『FIND THE LUCKY BIRD』の一部

 作品の展示数も多いので、ドライブも兼ねて北部を丸1日楽しむことも当然可能だ。是非やんばるの空気を吸いに訪れてほしい。各会場の入場は無料。展示作品の場所や詳細はHPで確認することができる。

■関連リンク
やんばるアートフェスティバル 2021-2022

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真栄城 潤一

投稿者記事一覧

1985年生まれ、那覇市出身。
元新聞記者、その前はバンドマン(ドラマー)。映画、音楽、文学、それらをひっくるめたアート、さらにそれらをひっくるめた文化を敬い畏れ、そして愛す。あらゆる分野のクリエイティブな人たちの活動や言葉を発信し、つながりを生み、沖縄の未来に貢献したい、と目論む。

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