オリオンビール新社長に村野一氏が就任「ヒット商品開発が一丁目一番地」

 

村野社長・一問一答

 ―就任のいきさつを教えてください。

 「もともと個人的に沖縄に住みたいという気持ちがありました。7月に宮古島を訪れた際に非常に魅了されて、沖縄に行くなら『今でしょ』と家族と決めたんです。株主・スポンサーからの声掛けをただいて、面接などのプロセスを経てセレクションしてもらった。他にも優秀な方がいらっしゃったと思いますが、沖縄への愛で少し勝ったかなと感じています

 ―ビール業界全体の現状認識と、その中でのオリオンの立ち位置をどう考えますか。

 「ビールを飲まなくなってしまう、そもそも飲まないという“ビール離れ”という言葉を聞きます。それを受けて、飲みたくなるような商品を作るということを強化する必要性があるように思っています。また、コロナ禍で観光客の人が来られなくて沖縄産業が打撃を受けていて、オリオンビールも例外ではありません。観光客が来られなくても商売が成長していけることが大切だと思っています」

 ―海外市場へはどのようにアプローチしていきますか。

 「海外の伸びしろはものすごく大きい。ビールで言っても中国を筆頭にアメリカやドイツなども挙げられます。日本の市場軽視するつもりは毛頭無いですが、宝の山のような市場が海外にあるので、そこに目を向けるのは必然だと考えています。ただ、海外で物を売るためにはコツが要と思うし、そのためには沖縄の色んな力を結集しなければいけない。
 優先する市場としては台湾、中国、アメリカ、オーストラリア、あと状況が許せば本場のドイツやチェコのようなところでも『沖縄のビールは美味しい』ということが言われるようにしたいという夢は持っています」

 ―これまでの経営との違いをどのように出していきますか。

 「前社長が出された商品を見ると、分かりやすくて記憶に残るものを作り上げていると感じます。面白い新商品を出したということは消費者の声としても聞きました。その上で、“ヒット商品にする”ということが重要になってくると思います。新しい切り口の商品を作ってそこそこの成功を収めたというステージから、それを大ヒットさせるというステージまで引き上げるのが私のチャレンジになると思います」

 ―ビールや缶チューハイのラインナップが広がる中で、どんな商品展開を目指していくのでしょうか。

 「食事に合うということが1つの切り口になると考えています。飲み物は食事を助けるという面があるので、食事に応じてビールを楽しむような文化を作っていきたいですね。ビールが苦いから苦手という人もいて、入り口のハードルがやや高い側面もあります。
 そこで、これまでとは違った形の楽しみやすいビールも考案したい。お客さまを特定して、その層に合うものを作るというのがヒット商品の1つの要諦かなと思います。その時々の気分に応じて選べるような、よりライフスタイルをエンジョイできるようなラインナップを目指したいです」

 ―オリオンビールの印象とポテンシャルについてはどう考えていますか。

 「まず『オリオンビール』というのは素晴らしいネーミングで、お客さまの記憶に留まり、海外でもそのまま展開できると思っています。ポテンシャルについては、沖縄にも感じています。オリオンを推し進めるにあたっては『沖縄とともに』というのは間違いない方向性でしょう。沖縄を日本や世界にプロモートするというアジェンダは今ここに集まっている報道の方々も一緒だと思います。
 人材の面でも優秀な皆様が揃っていて、素晴らしい仲間がいる。私が12代目の社長となりますが、会社を盛り上げてきてくれた諸先輩方への感謝も忘れてはならないと思ってます。私がここでこれから築いていくことが、沖縄の若者や、沖縄に興味のある世界中の若者が島にきてこの会社で成長していけるようなポテンシャルもあると考えています」

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真栄城 潤一

投稿者記事一覧

1985年生まれ、那覇市出身。
元新聞記者、その前はバンドマン(ドラマー)。映画、音楽、文学、それらをひっくるめたアート、さらにそれらをひっくるめた文化を敬い畏れ、そして愛す。あらゆる分野のクリエイティブな人たちの活動や言葉を発信し、つながりを生み、沖縄の未来に貢献したい、と目論む。

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