福建省でエイサーがブーム 沖縄と友好都市締結、来年25周年
- 2021/12/3
- 国際
沖縄県と福建省が友好都市として手を結んで来年で25年の節目を迎える。県内の高校生・大学生が福建省師範大学などの大学生らとオンライン交流を実施し、両県省の絆を深めている。福建省でも「エイサーチャンピオンシップ大会」が開かれるほど人気の高いエイサーは、今後両県省の双方で一緒に踊れる曲として、創作エイサー団体「那覇太鼓」が新たに振り付けを担当。沖縄から福建へオンライン指導し同時演武するなど、エイサーや人的交流を通して将来にわたるネットワーク構築につなげる予定だ。
沖縄と福建省のつながり
中国の南東沿岸地区に位置する福建省。沖縄県の約53倍の人口で、自由貿易試験区が設置されていることで、東アジアの新たな経済交流拠点として注目を集めている。
そんな福建省と沖縄県のつながりは約600年前に遡る。今では、沖縄県と福建省の友好都市締結以外にも、那覇市と福州市、浦添市と泉州市、宜野湾市と厦門市がそれぞれ友好都市の締結を交わしている。
琉球王国時代には、皇帝との通訳や貿易交渉、外交折衝の通訳、中国の文化や技術の習得など、多くの琉球人が福建省に渡り、在留した。福建省から沖縄に持ち込まれた伝統風習や食も多く、中国側との交流の中で琉球の文化に様々な影響を与えてきた。
さらに、福建省福州市には、琉球王国時代の琉球人が埋葬されている琉球墓園などもあり、清明祭の時期にはエイサーが踊られたこともある。
沖縄県と福建省の双方で留学生の受け入れをするなど人的交流のほか、農業や水産業、商業貿易などの経済交流を行っている。
エイサーで繋がる両県省
沖縄県は、友好県省締結25周年に向けた機運向上を図り、現地の若い世代との交流や相互の絆の強化を目的に「海邦養秀ネットワーク構築事業」を実施。福建省のドキュメンタリー番組制作を手がけるなどの実績がある沖縄映像センターをはじめ、沖縄ツーリスト、世界若者ウチナーンチュ連合会が事業をサポートした。
交流事業は、県内から高校生と大学生25人が参加し、両県省のつながりを学ぶ歴史講座の他、琉球大学と提携を結んでいる福建師範大学や福州外語外貿学院などとのオンライン交流が11月に行われた。
中でも、交流の肝となっているのは、エイサーだ。実は福建省では、エイサーが大ブームになっている。2013年から福建省で本格的に始ったというエイサー活動は、福建師範大学や福州大学など今では9大学の団体が活動し、毎年、「エイサーチャンピオンシップ大会」が行われている。
600年の歴史を次世代へ
交流事業の統括責任者で沖縄映像センターの玉城里那さん自身も、現地のエイサー団体で活動した一人だ。高校卒業後、中国南京大学に進学し、福建省にて沖縄県産業振興公社委託駐在員として在籍しながら、エイサーの文化普及に携わった。