沖縄の不動産市場に暗雲

 

 沖縄県不動産鑑定士協会が6月19日に発表した「沖縄県不動産市場DIレポート」は衝撃的な内容だった。

 不動産DIとは県内の不動産業者に不動産相場の現況や先行きについてアンケート調査を行い、それを指数で示したもの。半年に一度行われており、県不動産鑑定士協会が公表している。

 それによると、これまでインバウンド需要などによる好景気に支えられて、上昇を続けてきた地価の動向は、今年5月の時点で住宅地、商業地、そして軍用地のいずれでも半年前よりも急激に下落した。

 調査を開始した2014年11月以来、DI値がマイナスとなったのは初めてのことだという。

 さらに衝撃なのは、今後半年間(2020年5月〜11月)の地価動向の予測は、住宅地、商業地、軍用地のいずれでも更なるマイナスとなり、下落感がいっそう強まるということだ。

第12回沖縄県不動産市場DIレポートより抜粋

 アンケートの結果を見ると、「下落」および「やや下落」と予想した回答は、住宅地や商業地で8割弱にも上る。言うまでもなく、過去最低の予測値である。

 さらに細かく見ていく。

 まず、経済活動のバロメーターとも言うべき、賃貸市場の動向だが、共同住宅よりも店舗の下落ぶりが凄まじく、店舗等賃料のDI値は今年5月の時点で、マイナス16.7ポイントとなり、店舗等稼働率もマイナス19.7ポイントとなった。これが半年後には、それぞれマイナス62.8ポイントとマイナス64.9ポイントと予測されており、このまま推移すれば、もはや暴落と言っても過言ではない。

 エリア別では、住宅地の地価動向は本島北部をのぞく県内の全エリアで今年5月はマイナスに転じた。

 とりわけ那覇市およびその周辺部はDI値がマイナス30ポイントを下回っている。これまで地価が高かっただけに、下落感が強まる傾向にある。さらに今後の半年間は、本島南部や中部、さらに離島部でDI値が50ポイントを下回る下落となると予測され、中心部から周辺へと下落感の強まりが波及するものとみられる。商業地も住宅地とほぼ同じ傾向である。

 軍用地でも、過去半年間の地価動向に関する実感値は本島北部や離島を除く全エリアで下落に転じた。特に那覇市小禄地区と本島南部ではDI値がマイナス20ポイントと落ち込みが激しい。今後半年間の予測値も、県内すべてのエリアでDI値が減少し、本島南部や離島部を除くエリアでは40ポイント以上の減少。那覇市部や那覇市周辺部では50ポイントを超える著しい減少となると予測される。

賃料の減額や猶予の相談、家賃の滞納がトップ

 これだけの不動産DIの下落が予測される背景には言うまでもなく、新型コロナウイルスの感染拡大による影響が挙げられる。アンケートに回答した200の業者に新型コロナの感染拡大とそれに伴う経済環境の変化について尋ねた。

 すると、「賃料の減額や猶予の相談が増えている」「家賃の滞納がでてきている」との回答が53件、「営業活動ができない」が37件、「来客や問合わせの電話が減った」が37件との結果となった。店子が賃料の支払いに困窮しているだけでなく、不動産業者が営業活動もままならない現状が浮き彫りになったと言える。これでは取り扱い件数が増えようがない。

厳しさ増す不動産市況

 さらに、今後の不動産市況の見通しを尋ねたところ、回答した198業者のうち、「不動産価格、賃料が下落するだろう」「不動産価格が暴落すると思う」がトップで61件、次いで「買い控えにより取引が減るだろう」「不動産に対する需要が減退するだろう」が35件、「わからない。先が読めない」が31件、「テナントが撤退し空き店舗が増えるのでないか」「家賃滞納が増えると思う」が23件と、マイナス要因を挙げるコメントばかり。今後の不動産市況が厳しくなることは避けられそうにない。

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