沖縄県、辺野古設計変更を不承認 「全ての埋立中止を」
- 2021/11/26
- 政治
米軍普天間飛行場の名護市辺野古移設をめぐり25日、沖縄県の玉城デニー知事は記者会見を開き、沖縄防衛局から提出されていた設計変更の申請を「不承認」としたと発表した。「辺野古が唯一」として工事を進める政府は対抗措置を取るとみられ、来年秋の県知事選に向けて政治的な駆け引きも活発となる可能性が高い。
玉城知事は会見で「埋め立て工事を継続することは、許されることではない。沖縄防衛局は、全ての埋め立て工事を中止すべきだ」と強調したほか、対話による解決策を政府に求める方針を改めて示した。
設計変更の申請は、移設先の大浦湾でマヨネーズ並みともいわれる軟弱地盤が確認されたことに伴うもの。地盤改良のため杭を7万本余り打ち込むなどとする内容で、昨年4月に沖縄防衛局が県に提出していた。
不承認とした理由として、県は▽地盤の安定性などに関する最も重要な地点で必要な調査が実施されていない▽最も深くまで軟弱地盤がある地点で、改良を行えない深度の地盤について性状が分かる試験が行われていない▽ジュゴンに及ぼす影響について十分な情報が収集されていないーことなどを挙げている。
一方で、同日の会見では、記者団から「(国との)法廷闘争に発展する可能性もあるが、辺野古をめぐっては今回が最後の法廷闘争になると考えるか」との質問も出た。
これに対し、玉城知事は「今の段階では、国が行う法的措置について答える立場にはない。しかし、われわれが辺野古について取りうる対応を、しっかり取っていくということだけは、強くお答えしたい」と述べた。
また、基地問題と沖縄振興予算はリンクしないと強調した上で、「振興は国土の発展のために重要。基地問題に対する賛成、反対で、国土の住民の生活や地域の発展を阻害することがあってはならない」と強調した。
議会への事前説明なしに疑問の声も
設計変更が不承認となった25日には、沖縄県議会(赤嶺昇議長)11月定例会が開会。県議会への事前説明がなかったことについては、疑問の声もあがった。自民県連の島袋大幹事長は「不承認は当初から想定していた」としながらも、「政府に対話を求めていながら、県議会と対話がない」と県を批判した。
一方、國仲昌二県議(立憲おきなわ)は、「今回の不承認に関しては、行政上の手続きとして淡々と判断したもの。一方で予算や沖縄振興法など、国との折衝においては、沖縄の現状をしっかり伝えて、別でしっかり交渉するべきものだと考えている」と強調した。
自民会派は、県議会の代表質問や一般質問で、県の対応をただすものとみられる。県知事選の前には、来年1月に名護市長選も控える。来年度の沖縄振興予算編成、次期沖縄振興計画などの策定も見据え、激しい論戦が展開されそうだ。
(記事・写真 宮古毎日新聞)