琉球史が変わる!? 謎多き「大里」の歴史を追う
- 2021/11/18
- 社会
昔話に出てくるような御嶽
大里を散策していると、御嶽の案内板が多いことに気付く。特にグスク近隣に多く、何と言ってもその形状が興味深いのだ。この形は大里にある御嶽の特徴であり、他の地域には見られないという。個人的な見方で言えば、曲線が生み出す波のような柔らかさと、頂に乗る宝珠の姿から「竜宮城」を模しているのだろうかと思ってしまう形だ。
ちなみに、山口県の壇ノ浦近くに建立された安徳天皇を祀る赤間神宮の「水天門」は、昔話に出てくる竜宮城のイメージそのものだ。
また、大里には大里グスクとは別の「ギリムイグスク」と呼ばれる森そのもののようなグスクもあり、大里グスク以前のものだという。この森の中にも御嶽がいくつかあり、先に記したような特徴的な形をしている。そして敷地内には、ムーチーの大里鬼で知られる「鬼」が住んでいたとされる洞窟もあるのだ。
鬼が住み着いたのはなぜ大里の洞窟だったのだろうか。
もしかすると何者かが鬼を創り上げ、人々が大里の森に近づかないよう取り計らったのではないかとも考えられる。事実、戦前の頃まではこのあたりに近づいてはいけないと言われていたという。
さらに、ギリムイグスク近くには森自体が御嶽となっている「イイムイ御嶽」がある。その森の頂上部には舜天王が祀られているとされる古墓があり、麓には大里内でも最大級と思われる竜宮城型の御嶽が鎮座している。
為朝、舜天、竜宮城、鬼、これだけの歴史重要キャラクターがなぜこんなにも大里に集結しているのか。