官民一体で観光推進ロードマップ策定へ 第1回沖縄観光推進戦略会議
- 2022/11/19
- 政治
沖縄県は18日、7月に策定した「第6次県観光振興基本計画」(以下、基本計画)で掲げる各施策を着実に推進するための実施計画「沖縄観光推進ロードマップ」策定に向け、行政機関を中心に構成する第1回沖縄観光推進戦略会議(以下、戦略会議)を開いた。戦略会議では、同ロードマップの役割や策定までの流れを共有したほか、観光関連団体で構成する3部会を設置し、官民一体となって内容を検討する方針を示した。
基本計画では、「世界から選ばれる持続可能な観光地」—世界とつながり、時代を切り拓く「美ら島 沖縄」—として、目標値で県民の幸せ感90%、観光事業者の満足度80%、観光収入1.2兆円、観光事業者(正社員・正規職員)20代の平均年収280万円などを掲げている。計画期間は2031年度まで。
沖縄観光推進ロードマップは、基本計画で掲げた85の具体的な施策ごとに成果指標を設定し、各施策で具体的な取り組み内容や目標値を設けて、効果検証や進捗(しんちょく)状況の確認を行いながら、着実な推進を図ることを目的に策定するもの。今後の戦略会議で、具体的な取り組みや目標値について検討する。
同ロードマップは、戦略会議で毎年度施策評価や効果検証を実施するほか、社会経済情勢などの変化を踏まえ、前期(3年)、中期(3年)、後期(4年)の3回、同ロードマップの見直しも行う。
県文化観光スポーツ部の宮城嗣吉部長は会議冒頭のあいさつで、基本計画で目指す将来像「世界から選ばれる持続可能な観光地」の実現のため、滞在日数の延伸や、食・交通・宿泊の満足度の向上など、付加価値の高い観光商品を造成する必要性を訴えた。その上で「観光客の受け入れ体制の整備、観光人材の育成・確保などの課題に対応する施策を展開していく必要がある」と述べ、各委員に対して積極的な意見交換と協力を求めた。
質の高いクルーズ観光など推進
戦略会議では、①質の高いクルーズ観光の推進や国際線の拡充のほか、「安全・安心の島沖縄」の構築に向けた受け入れ体制などの整備を主に議論する「ゲートウェイ関係部会」、②観光2次交通の利用促進や雇用の安定化と正規雇用の促進などを主に議論する「2次交通関係部会」、③宿泊施設の品質向上とDX(デジタルトランスフォーメーション)の推進や、観光人材育成などを主に議論する「誘客・受入施設関係部会」の3つの部会を設置し、官民一体で内容を検討する方針。
委員からは、オーバーツーリズムに関する議論をする必要性もある中で、部会の構成委員が受け入れる側のみで議論をして良いのかとの指摘もあった。
また、自然環境を守る観点から、部会で環境省の沖縄奄美自然環境事務所から助言をもらうことも一つのより良い方策ではないかとの意見に対して、県担当者は「前向きに検討したい」と述べた。
さらに、今後の具体策について、大型のクルーズ船だけではなく、スーパーヨットや小型のラグジュアリークルーズ船など、「道路」だけではなく「海」を活用するアイデアの提案もあった。
同ロードマップは、来年3月までに戦略会議を3回行い、関係部会や市町村(沖縄本島の北部・中部・南部、宮古、八重山)との意見交換会、県知事を会長とした県観光推進本部会議などを経て、来年3月中旬を目途に策定・公開される。
【2022年度 沖縄観光推進戦略会議 委員名簿】
県文化観光スポーツ部・宮城嗣吉部長、県企画部・儀間秀樹部長、県保健医療部・糸数公部長、県農林水産部・崎原盛光部長、県商工労働部・松永享部長、県土木建築部・島袋善明部長、県環境部・金城賢部長、国土交通省大阪航空局空港部・楠山哲弘部長、内閣府沖縄総合事務局農林水産部・福島央部長、同局経済産業部・滝本浩司部長、同局開発建設部・坂井功部長、同局運輸部・星明彦部長、那覇港管理組合・照屋寛志副管理者、那覇空港ビルディング・安里昌利社長、沖縄観光コンベンションビューロー・下地芳郎会長
(記事・写真 宮古毎日新聞)