首里城瓦のウクレレ、どんな音?県産木材にこだわる工房が製作
- 2022/2/16
- 社会
読谷村にあるウクレレショップ「Pua melia(プアメリア)」を営む大城欣哉(よしちか)さんが、首里城火災の破損瓦を材料として埋め込んだウクレレを制作・販売している。沖縄県が呼びかける「首里城破損瓦利活用アイデア」で瓦を入手した。赤瓦を使用したのはボディとネックの一部、指板、ペグの部位に加え、ヘッドの中央部にも首里城の御庭(ウナー)のデザインをイメージして組みこんだ。木材にも実際の首里城復元に使われる素材を使用。ボディ材はオキナワウラジオガシ、ネック材はチャーギで、赤瓦と合わせて「小さい首里城」としての世界観をウクレレで表現している。
赤瓦ウクレレの音はどんな音?
その他、指板上にあるポジションマークには夜光貝を使用しており、まさしく「沖縄素材全部乗せ」状態だ。使用した瓦は、国王や王妃・王母のプライベート空間として使われていた黄金御殿(くがにうどぅん)で使われていたものとみられている。赤瓦はボディ表面部の裏から当てて接着し、弦の張力も利用してしっかりと固定されている。
その音色は従来のウクレレに比べて、赤瓦の質感同様に固い響きを持ち、高域が澄んでいるのが特徴だ。首里城やその歴史が物語るシックさが際立ちながらも、ウクレレという楽器そのものが持つかわいらしさや優しさが同居した音色を響かせる。
県産木材を使ったオリジナルブランドを展開
大城さんがウクレレ作りを始めたのは、2010年のことだ。趣味の一環でYouTubeなどを参考にしながら完全に独学で製作法を習得。ウクレレ作りは本格化していき、2013年に今の店舗「Pua melia」を開いた。
同店は、沖縄県産の木材を使った自社ブランド「Shuli ukulele」を展開していることが特徴だ。沖縄県内ではウクレレ工房自体が珍しく、県産木材にこだわって制作している工房としては唯一だという。
「Shuli ukulele」は、文字通り首里を意識したもの。大城さん自身も、小学校1年生までは首里城に隣接する城西小学校に通っていた。幼い日々の思い出は首里と共にあった。
首里を一般的なローマ字表記である「Shuri」ではなく「Shuli」としているのは「地名をそのまま使うと申し訳ないから」(大城さん)。土地へのリスペクトは忘れない。
大城さんは「後から知ったのですが、そもそもハワイの言葉では『r』を使うことがないようで、『l』にしたことで結果的にハワイらしくなりました」とほほ笑む。