過去最高額の8606億円 沖縄県2022年度当初予算案
- 2022/2/8
- 政治
沖縄県の玉城デニー知事は7日、県庁で会見し、2年連続の過去最高額となる8606億円の2022年度一般会計当初予算案を発表した。前年度比では8.8%の増額で、総額が8000億円を超えるのは初めて。新型コロナウイルスの克服と県経済の回復、復帰50周年記念事業などを重点テーマに掲げた。
沖縄振興予算が大幅な減額となった上で、コロナ禍により経済が停滞する中で予算額は増えた理由について、県は「新型コロナウイルス感染症対策経費や、社会保障関係経費の増額」などが理由としている。
収入では、コロナ関連の交付金など国庫支出金が約350億円増えたほか、県税や地方消費税も伸びが予測されるという。県の担当者は、法人関係の税収について、運輸業が落ち込む一方で、金融保険業と建設業などが伸びているとした。
会見で、玉城知事は「新型コロナウイルスの影響で落ち込んだ経済の立て直しを図り、新時代沖縄を展望し得る沖縄の振興発展に全庁を挙げて全力で取り組む」と述べた。同予算案は15日開会予定の県議会2月定例会に提出する。
同日は、21年度一般会計の第21次補正予算案243億3300万円なども決まった。22年度当初予算案と合わせると、コロナ対策関連の予算は1777億円。このうち、経済対策は708億円となった。
新型コロナウイルス関連の経済対策では、落ち込んだ旅行需要を回復するため、全国から沖縄への旅行需要を喚起する割引事業を行う「Go To おきなわキャンペーン事業」に376億5600万円を計上したほか、観光誘客プロモーションを行う「国内需要安定化事業」には3億5100万円を盛り込んだ。
また、新型コロナの影響で売上高が減少した中小法人や個人事業者を国が支援する「事業復活支援金」に県独自で上乗せする「おきなわ事業者復活支援金」には21億3300万円が計上された。国の支援金が5カ月分について給付するのに対し、県は1カ月分を上乗せする。県の担当者は、上乗せ支援の申請は「4月以降になる」との見通しを示した。
玉城知事は会見で、深刻さが指摘されてきた子どもの貧困についても触れた。自身が掲げる「誰一人取り残されない沖縄らしい優しい社会」を踏まえたもので、「(22年度当初予算案では)沖縄子どもの貧困対策推進基金は前回の30億から60億円へ倍増の積み増しを行なった」と強調した。
一括交付金減額の影響も
一方、沖縄振興予算で自由度が高い一括交付金が762億円と前年度から219億円減額された影響も見られたという。玉城知事は、一括交付金のうちソフト交付金事業について「産業の基盤整備や研究開発、プロモーション事業は、規模を縮小せざるを得なかった。減額の影響が生じたと正直、申し上げなければいけない」と語った。
また、「ハード交付金は、市町村事業を前年並みに確保するため、減額分は全て県事業で対応することにした。そのため、道路整備などの進捗の遅れは若干、避けられない見通し」と述べた。その上で、「公共事業は、国、県、市町村の事業が一体となって整備されることで効果が出てくることは間違いない。公共事業予算の確保については、引き続き内閣府をはじめ関係省庁と折衝していきたい」と強調した。
(記事・写真 宮古毎日新聞)