国、辺野古「不承認」に対抗措置
- 2021/12/8
- 政治
沖縄防衛局は7日、米軍普天間飛行場の辺野古移設をめぐり玉城デニー知事が同局の設計変更申請を「不承認」とした措置について、行政不服審査法に基づき国土交通相に審査請求を行ったと発表した。今後は、国と沖縄県の法廷闘争に発展する可能性が高く、来年1月の名護市長選や秋の県知事選を控え、政治的対立も厳しさを増しそうだ。
玉城知事は同日、沖縄県庁で会見し、「国土交通相は内閣の一員として辺野古新基地建設を推進する立場にあり、公平公正な判断を行うことは事実上不可能だ」と述べて国の対応を批判した。
防衛局の設計変更申請は、移設先の大浦湾でマヨネーズ並みともいわれる軟弱地盤が確認されたことを受けて昨年4月に提出されたもの。玉城知事は今年11月25日、「地盤の安定性などに関する最も重要な地点で必要な調査が実施されていない」などとして不承認の処分を下していた。
7日の会見では、記者団から「今後の上京で、首相や防衛相、官房長官に対して審査請求の取り下げを求めることはあるか」との質問も出された。これに対し、玉城知事は「可能かどうか検討したい」と述べるにとどめた。
名護市含む衆院沖縄3区勝利で自民会派が知事追及
一方、11月25日に開会した沖縄県議会(赤嶺昇議長)定例会では、10月の衆院選で辺野古移設容認を掲げた候補が名護市を含む沖縄3区で勝利したことを受け、自民会派が玉城知事を追及する動きが見られている。
6日、同会派に所属する仲里全孝県議は一般質問で「沖縄3区で衆院選挙の結果はどうなったか」などと指摘。これに対し、金城賢知事公室長は「新型コロナウイルスや新たな沖縄振興、コロナ対策後の経済などが争点になり、辺野古新基地建設は大きな争点にはならなかったと考えている」と答弁した。
また、7日に一般質問した花城大輔県議も「(県にとって)都合の良い民意と、都合の悪い民意を使い分けているとしか思えない。知事は、仕事は自民党にお願いしながら、(3区で別の候補者を)応援する」と批判した。
年末には来年度の沖縄振興予算の額も決まるほか、次期沖縄振興計画の策定作業も進んでいる。辺野古をめぐり国と県の対立が深まる中、沖縄は来年の「選挙イヤー」に突入しようとしている。
(記事・写真 宮古毎日新聞)